意外な結果も!
TOEIC® Listening & Reading公開テストの結果から見る受験者とスコアの傾向

「TOEIC L&Rって、平均点はどのぐらい?」
「自分のスコアは、大学生のなかでは高いほう?それとも低いほう?」と思ったことはありませんか。

本記事では、国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が公開テストおよびIPテスト*における実受験者のデータに基づいて作成した「TOEIC Program DATA&ANALYSIS 2023(2022年度の受験者数と平均スコア)」から、TOEIC L&R公開テスト受験者の属性やスコアに見られる特徴について確認していきます。

*TOEIC L&Rには、「公開テスト」と「団体特別受験制度(IPテスト)」の2つの受験方法があります。公開テストは基本的に毎月1回、土曜日もしくは日曜日の午前もしくは午後に指定された会場で受験します(月2回受験できる場合もあります)。一方、IPテストは企業や団体、学校などが実施日時や場所を設定します。オンラインで受験することも可能です。

平均スコアを社会人と学生で比較 社会人が57点高い

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TOEIC L&Rのトータル平均スコアを学生(小学生から大学院生まで)と社会人で比較したところ、社会人が学生よりも57点高い結果となりました。

それぞれのトータル平均スコアは以下の通りです。全体のトータル平均スコアは608点で、社会人は全体よりも30点上回っているのに対し、学生は581点と27点下回っています。

TOEIC L&Rのトータル平均スコア
全体(社会人+学生)608点
社会人638点
学生581点

リスニングとリーディングの平均スコアを比較すると、社会人も学生もリスニングが高くなっています。

 リスニング平均スコアリーディング平均スコア
社会人346点292点
学生317点265点

リスニングでは学生と社会人のスコアの差は29点、リーディングでは27点でした

このように、社会人と学生にはスコアの差異が見られますが、背景はどのようなことが考えられるのでしょうか?

  • 英語学習歴
  • TOEIC L&Rスコアを取得する目的

社会人は学生よりも英語学習歴が長いため、平均スコアが高くなると思われます。継続して英語を学び続けることが、スコアの向上にもつながっているのではないでしょうか。

さらに、社会人は以下のようなキャリアや業務に直結する目的で受験される方も多くいます。

  • 昇進昇格の要件として
  • 現在の仕事に英語力が必要
  • キャリアチェンジの武器として
  • 海外業務や海外赴任などを目指して

学生でも、就職活動や大学・大学院入試など、明確な目的を持っている受験者も多いでしょう。

このように目的を持って継続して学習することが、確かな英語力向上につながるのかもしれません。

社会人の職種別平均スコア、1位は海外職の731点

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次に、社会人の職種別平均スコアを見ていきましょう。以下が1位から3位までです。

社会人の職種別平均スコア
 TotalListeningReading
1位海外731点393点338点
2位教育713点382点331点
3位法務692点364点328点

1位は海外職ですが、日常的に英語を使用している受験者が多いと考えられるため、あまり驚きはないのではないでしょうか。2位の教育職も713点となっていて、1位と2位はトータル平均スコアが700点以上です。教育職には一定数、英語教育に携わっている受験者が含まれると考えられます。

また、社会人のトータル平均スコアは638点ですが、上位10位以内に入っている職種はすべて平均以上となっています。

スコアの差を見てみると、1位の海外職と2位の教育職では18点、2位の教育職と3位の法務職では21点の開きがあります。リスニングは1位と2位で11点、2位と3位で18点の差がある一方、リーディングは1位と2位で7点、2位と3位で3点の差でした。

なお、企業・団体ではTOEIC L&Rを、昇進・昇格の要件、海外出張や駐在の基準、英語研修の効果測定、新入社員の英語力測定、そして自己啓発など、英語力を測定するさまざまな目的で活用されています。

受験者数は技術職が最も多い。文系・理系関係なく英語力が求められる

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次に、職種別の受験者数を見ていきましょう。以下が1位から3位までです。

 

◎1位⇒技術:62,236人

◎2位⇒営業:55,071人

◎3位⇒事務:42,772人

 

1位は技術職の62,236人でした。2位の営業職と3位の事務職は就業人口が多いからではと推測できますが、一見英語力の必要性がイメージしにくい技術職が、唯一6万人超えの1位です。

4位以下に目を向けてみると、4位がSE、7位が研究職となっているため、職種では文系・理系関係なく英語力が求められていると推測できます。

技術職の受験者数が多い理由としては、以下のような点が考えられます。

  • 海外人材や海外とのコミュニケーションで英語が必要
  • 技術の進化と産業のグローバル化

近年、IT人材の必要性が高まっており、企業で日本人と外国人が一緒に働くことも珍しくなくなりました。日本国内だけで必要十分なIT人材を獲得することが難しいため、今後はさらに海外人材の採用が増加していくと考えられます。

結果として、海外人材とのコミュニケーションで英語が必要な場面が増えているため、英語力が必要になってきているとも考えられるでしょう。社内に外国人スタッフがいない場合でも、海外に拠点を持つ企業とのウェブ会議などで、英語を使ったやり取りが必要になると推測できます。

また、IT技術の進化はめざましく、常に情報をアップデートしていく必要がありますが、そのためには海外で発表される最新サービスなどについて理解しなくてはなりません。そして、新たなスキルを身につける際にはマニュアルや仕様書を読み解いていく必要もありますが、これらは英語で書かれていることが多いため、リーディング力が問われることも多いでしょう。

所属学校別のスコア トップはなんと小学校!

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次に、所属学校別の平均スコアを見ていきましょう。以下が1位から3位までです。

所属学校別の平均スコアListeningReading受験者数
1位小学校655点381点274点174名
2位大学院630点336点294点29,132名
3位中学校610点352点258点770名

1位はなんと小学校の655点でした。2位の大学院よりも25点高く、リスニングでは45点も差をつけています。逆に、リーディングでは大学院のほうが1位の小学校よりも20点高いという結果になりました。

リスニングについては、2位の大学院は3位の中学校と比べても16点低くなっているため、大学院に通う成人よりも、小学生や中学生のスコアが高いという結果となりました。

1位となった小学校については、受験者数が174名とかなり少ないため、幼少期から海外在住経験がある、インターナショナルスクールに通学しているなど、英語力が高い児童が多く受験していると推測できます。中学校についても、770名と受験者数が少ないため、小学校と同様の傾向があるのではないかと考えられます。

また、TOEIC L&Rと聞くとビジネスのイメージが強いと思われますが、小中学生の平均スコアが高いことを考えると、必ずしもビジネスの知識や経験が必要ではなく、英語コミュニケーション能力が測定されていることがわかります。

高校になると受験者数が12,068名、大学では281,122名と急激に増えていきますが、これは大学・大学院入試や単位認定、就職活動などを目的とした受験が増えるためと想定されます。さまざまな英語力の層が受験されるため、平均スコアは小学校や中学校よりも低くなっていと推測できます。

本記事では、TOEIC L&R公開テストの平均スコアや受験者数から見られる傾向をまとめ、その理由について考察してきました。

今回はTOEIC L&Rを取り上げましたが、ほかにもTOEIC Programには以下のようなテストがあります。

  • TOEIC Speaking & Writing Tests(スピーキングやライティング能力を測る)
  • TOEIC Bridge Tests(英語学習初級者から中級者を対象としたテスト)

スピーキングやライティング能力を測りたい、あるいはまだTOEIC L&Rを受けるには英語力が足りないと感じている場合は、上記テストの受験を検討してみても良いかもしれません。
TOEIC Program DATA&ANALYSIS 2023」では今回ご紹介した以外にもさまざまなデータを掲載しています。ぜひご活用ください!

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