外資系企業人事担当者に聞く、採用で重視する学生の英語力

公開日:2024年08月01日

元 ・外資系企業 人事、HR(ヒューマンリソース)担当  Kさん

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外資系企業の新卒・中途の採用やHRといった人事業務に長く携わってきたKさん(現在は日系企業の採用担当)。海外勤務の経験も長く、人事、HR担当として多くの応募者の採用面接をしてきたKさんに、ご自身の経験から見る外資系企業の採用で重要視する学生の英語力や求める資質の傾向、入社後に活躍できる場の可能性 、外資系企業への就職を目指す学生へのアドバイスなどを伺いました。

新卒採用に英語力は必須? 求められるTOEIC Testsのスコアは?

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外資系企業では、新卒の採用時にはやはり英語力を重視していますか?

一口に外資系といっても、企業や業務によって差異はあると思いますが、私の前職を含め、やはり外資系は英語を使うことが多いので重視していると思います

前職では、TOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)のスコアとしては、基本的なコミュニケーションをする仕事なら500~600点を目安としていました。新卒はほとんどインターンからの採用で、採用面接だけでなく、職務に関する能力試験、レジュメなど総合的な判断をしていました。

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新卒はインターンから採用されていたとのことですが、どのような要素を見ていましたか?

語学力以外では、仕事のポジションに興味があること、業務への適性、コミュニケーション能力などを見ていました。自分一人でこなす業務はほとんどありませんので、コミュニケーション能力はどの企業・ポジションでも必要としているのではないかと思います。

英語力はインターンの間に確認しますが、採用時にはミスマッチを防ぐため、ポジションに合っているかどうかを直属のマネージャーと一緒に面接で確認していました

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英語力の中でも、どのような力が求められますか?

まず、スピーキングとリスニングを同じくらい重視していました。その次に、ライティングとリーディングです。

メールや会社の資料、社内会議は英語です。上司が英語圏の人の場合、共通言語は英語になります。英語でのメールのやりとりや資料が読めることも必要ですが、急ぎでなければ後で調べながら対応することも可能です。しかし、コミュニケーションするためのスピーキング力とリスニング力は後回しにできないため、その場で必要になります。「待ったなし」が求められるスキルなので特に重視することになります

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コミュニケーション能力を面接でどのように測っているのでしょうか?

対面でもオンライン面接でも、目線を合わせられるかどうか、声の大きさ、答え方、しぐさなどで判断しました。また、前向きな姿勢があるか、質問をするかなどを見て、同席している直属のマネージャーと一緒に判断します。積極性があることは、英語を話す上でも仕事上でも大事だと思います。ただ、積極性はあるけれどシャイな人の場合は、慣れてくれば話せるようになることもあるので、その点をしっかり見極めることになります。

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中途採用の場合、英語力の評価はどのように測っているのか教えてください。

外国籍の社員と一緒に面接を担当し、英語力を確認していました。また、外資系への応募者はTOEIC Testsのスコアをもっている人がほとんどなので、そのスコアを見ることになります。ポジションや仕事内容により必要なスコアは異なりますが、マネージャーや交渉が必要なポジションはTOEIC L&R だとスコア800点以上が理想的と言えると思います。

TOEIC Testsのスコアがない人の場合は、留学などこれまでの経験や海外勤務経験も見ていました。英語が苦手な人の場合は、通訳が面接に入ることもありました。

ほとんど日本語を使わないポジションの場合、英語を母国語とする人かTOEIC L&Rのスコアが990点という満点に近いハイレベルの英語力をもつ日本人を採用していました。

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採用時に求められる英語力+αのものとは?

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英語力が少し不足していても採用になる場合はありましたか?

ありました! 英語スキルがそれほどハイレベルでなくても、業務スキルが高ければ通訳をつけて仕事をすることもあります。やはり、本人のやる気が大事ですね。「いまTOEIC Testsを勉強中です」、「英語を勉強するのでチャンスをください」とやる気を見せた人を採用したら、実際に、入社後英語スキルを自身で習得していました
TOEIC L&Rスコアが500点以下でも、本人にやる気があって、わからないことはわからないと自主的に質問する姿勢がある人は伸びていきます。逆に、スコアが高くても、面接で自己表現や受け答えができない人 、やる気が見えない人は採用を見送ることが多かったですね。

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外資系で働く上で、英語力以外に求められるスキルは?

外資系で働くなら、コミュニケーションスキルや自己表現スキル、自分の考えをしっかり述べる力が大事だと思います。実際に仕事をする中で「あなたの意見は?」と求められることが多いです。

面接では、自分はその会社に入社して何ができるか、どういうことを学びたいか、どういうキャリアパスをもっているかなどがよく聞かれます。自分自身を表現することを一つでも堂々と答えられることが大事ですね

ですから、ぜひ日頃から自分を表現することに慣れていただきたいと思います。そして、学業、ボランティア、インターンなど、いろいろな経験を積んでほしいです。TOEIC Testsのスコアも採用の目安になると思いますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います

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採用に携わった際の印象に残っているエピソードを教えてください。

ある採用面接で、英語力はあるけれどシャイな感じのする日本人の応募者が、あまり話さないのではと心配されていました。そこで、面接前に「一つでもいいから自分をアピールするように」と伝えたところ、自身のセールスポイントをしっかり話していて、結果として採用となりました

採用後もしばらくはシャイな感じでしたが、業務を覚えながら徐々にチームに溶け込んでいきました。すると、ベースの英語力がある人材だったため、次第に外国籍の人とも積極的に関わっていく姿が見られるようになったのです。そういった成長を見られるのは人事としてとてもうれしいですね。

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入社後の英語力向上へのカギは?

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入社後はどのような社内研修をしていましたか? 

社内研修は英語で行うことになります。業務に関する研修、ワーキングマネジメントといった日系企業でいう新人研修、マネジメント研修、コミュニケーション研修などですね。社内研修が多いかどうかは各企業のトップの方針によりますが、どこの企業も節目には研修をすると思います。研修を英語で行っているので、最初の段階である程度英語ができる人が理想とされます

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入社後、どのような人が英語のスキルを伸ばしていましたか?

わからないことは自主的に人に聞く積極性があれば、英語力が多少低くても伸びていく姿をたくさん見てきました。実際、TOEIC L&Rのスコアが500点以下から伸びていった人もいます。ですから、採用時にはスコアを重視するものの、スコアだけが判断基準になるのではなく、やはり「やる気」があるかどうかが大切なポイントになると思います

私も、英語での仕事を始めた当初から英語を流暢に話せたわけではありませんでした。  海外で現地の企業に勤務していたとき、モーニングミーティングで知らない業界用語が使われることがありましたが、わからないことは都度聞くようにしていました。また、完璧な英語を話すことにとらわれず、積極的に発言するように心がけていました。言葉は話すことで人から吸収できるし上達していきます

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英語力のスキルアップのために、定期的にTOEIC Testsを受験している人はいましたか?

私が現在勤務している日系企業では、主に英語を使う部署の社員が積極的にTOEIC Testsを受けています。以前在籍していた外資系企業でも、TOEIC Testsは英語力がスコアで表示されるので、スコアが上がることで本人の自信につながっていたのではないでしょうか

採用や評価でスコアを目安にしている会社が多い印象がありますし、日系企業では定期的にTOEIC Testsを受けるシステムがある企業が増えているようです。TOEIC Testsの勉強会をしている企業もあると聞きますね。

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グローバルな環境で社内にいながら英語力を伸ばす機会は多いと思いますが、具体的な例があれば教えてください。

仕事以外でも、社内でピザパーティーがよく開催されていましたよ。パーティーやイベントで外国籍の同僚と仲良くなると、英語を話す機会が増えて英会話力が向上していきます。外資系はそういう交流の場が多いと聞いています。積極的に参加すれば、コミュニケーションできる場はたくさんあると思います

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入社後の活躍の場と海外勤務への道

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外資系企業に入社後、英語を使う頻度はどのくらいありますか?

いろいろな部署の採用に携わってきましたが、英語の使用が100%で、日本語は使えなくてもいい部署もありました。

頻度が少ない部署だと40%くらいですね。あまり話せなくてもいいのですが、メールや書類は英語です。ただ、読み書きはAI翻訳ツールなどの活用もできるので、会話と比べると急ぐ必要がないことが多いですね。

海外から人が来て英語でミーティングをすることもあるので、話す・聞くという英語スキルが高いと業務の幅は格段に広がります

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海外勤務、海外出張はありますか?

はい、海外支社などへの出張がありました。現在の日系企業では海外出張でヨーロッパへ行くこともあります。

海外勤務や海外出張に行けるかどうかは、英語力に加えて業務スキルも必要となります。営業担当であれば交渉力が強い人が海外勤務や海外出張に行くことになります。

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採用面接の際に海外駐在や海外業務を希望する人は多いのでしょうか?

面接で「海外勤務を希望している」と言う人はそれほど多くなく、半数以下のイメージでしたね。心の中では、海外で働きたいという希望を秘めている人もいるのかもしれませんけど。

どの外資系企業も、新卒の社員を入社後すぐに海外出張などに行かせることはないと思いますが、海外駐在や海外出張の希望があるなら面接で伝えると、「やる気がある」と判断してもらえる場合があります。ですから、意欲があるなら「海外勤務や海外出張を希望している」と語ってもいいと思います。

外資系企業の面接でアピールしてほしいこと

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外資系企業に挑戦すること、働くことのメリットを教えてください。

新入社員でも積極的に自分を出せて、提案すれば歓迎してもらえる環境が多いように思います。自分の可能性を広げたい、どんどんクリエイトしていきたいという野心がある人にはおすすめです。わからないことは素直にわからないと言って聞くことができる人は外資系に向いている可能性があると思います

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応募者が、英語でのコミュニケーション能力をアピールするためのアドバイスをお願いします。

海外の人は、それほど英語が話せなくても「自分は英語が話せる!」とアピールすることが多いんですよ。日本人はよく謙遜して「英語は苦手」と言いますが、実はTOEIC Testsのスコアをもっているという人が多いと思います。日本人にありがちな謙遜のニュアンスは、日本人である私には通じても、ネイティブの面接官にはわかってもらえません

また、外資系は英語での面接がほとんどだと思います。ですから、自信をもって聞き取りやすく話すことが大事です。友だちと英語で会話するなどの事前練習もおすすめです。

外資系や英語を使う仕事に就きたいなら、TOEIC Testsのスコアを書くことをおすすめします。高スコアでなくても「これからがんばります」と言って採用になった人もいます。意欲があるのなら、ぜひ面接時に熱い思いを語ってください!

point

外資系企業への就職、Kさんからの面接時のアドバイス

  • 自分を表現しやる気を見せる
    →英語力が足りなくても採用になることも
  • はっきりとした英語で話し、わからないことは必ず聞き返す
    →わからないことをわからないと言えることが重要
  • TOEIC Testsにチャレンジしてスコアを獲得しておく
    →高スコアでなくても意欲があれば採用になった人もいる

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