知識共有は極めて重要です。今日、パンデミックによりもたらされた諸問題を解決すべくあらゆる企業にイノベーションが求められる中、今こそ学びを有効活用しなくてはなりません。しかし、在宅勤務が増えた今、大方のコミュニケーションは決められたミーティング時にオンラインのプラットフォームで行われ、自然発生的で非公式な会話は失われています。
今日、どのような素晴らしい学びが組織を動かしているのでしょうか。そして、この困難な時期に、知識をどのようにしてより早く、より優れた形で共有し、あらゆる学びを役立てれば良いのでしょうか。
ある部署では、従業員が、困難な問題を解決して仕事を前に進めるための素晴らしいオンラインのリソースを見つけるかもしれません。またある部署では、マネージャーが、チームの業績を改善する素晴らしいコーチングを行っているかもしれません。また他の場所では、二人の同僚が協働し、部門を越えた問題を解決するイノベーションを起こしているかもしれません。
そのような学びの瞬間を、より「見える化」して、組織内の他のメンバーに共有しやすくしましょう。
知識共有を促進することで、洞察や改善やイノベーションが生まれる力強い瞬間を、皆が利用できる有用なものとすることができるのです。そしてそれによって、組織があらゆる学びに価値を見出し、学びを奨励する姿勢を示すこともできるのです。
研究によれば、知識共有は、業績の良い組織にとっての大きな差別化要因となっています。業績の良い組織は、そうでない組織と比べて4倍もの知識共有を行っているとされています。人材育成を職務とする人が知識共有を促進する方法をいくつかご紹介しましょう。
学びの瞬間のストーリーを共有する方法を考えましょう
技術的な環境にもよりますが、以下のような共有方法が考えられます。
- 人材育成チームにeメールで連絡する
- 学びの共有のために、会社のSlackチャンネルを設置する
- 自社ウェブサイト上の共有ポータルに投稿する
- ミーティングで5分間を取って、有用なリンクや学びの事例を共有する
- ソーシャルメディアへの投稿時のハッシュタグを決める
Twitterでは現在、#AlwaysBeLearningというハッシュタグが使われています。このようなハッシュタグを組織のTwitterのハンドルネームと組み合わせれば、会社のブランドを築きつつ、従業員も楽しめるキャンペーンを作ることができます。GoogleやMicrosoftからも一連の強力なツールが出ていて、eメール、ドキュメント、スプレッドシート、スライド等のファイルをコンピュータや携帯電話、タブレットでスムーズに共有できるようになっています。
組織で起こっている学びについて話をしましょう
これは、どんなにやってもやりすぎるということはありません。会社が公式に実施する研修プログラムや人材育成のイベントに加え、個々に共有される非公式な学びも含む、継続的な対話であるべきです。
優れた学びや知識共有には光を当てましょう
興味深い学びの事例やストーリーを目にした時には、自社の共有チャンネルや情報伝達の中で取り上げましょう。そこでは、ベストプラクティスや、目覚ましい成果、そして影響力のある人物の良い実例を取り上げると良いでしょう。ベストな事例を取り上げることで、良い働きに報いながら、他の人にとってのモデルを示すことができます。
知識共有を他の人にも利用可能にしましょう
ここで注意を一つ。知識共有は、すぐに大規模なものになりがちです。無秩序な状態で置いておくと、すぐに何百もの共有がなされて、利用者が必要なものを見つけられない状態になってしまいます。そこで整理を心がけましょう。会社にとって学びの教材となるものを分類・表示するためのシステムやプロセスをよく考えましょう。以下のようにクロス表示することを考えてみてはいかがでしょうか。
- 機能別、部門別:セールスに関わる事項は販売部門が最も関心を持つ
- 形態別:動画やPDFは、それぞれ同じ場所で見つけられるようにする
- 題材別、職能別:広報、プログラミング、タイムマネジメント、顧客サービス等で分類する
品質をどう管理するか、考えましょう
知識共有を促進すると幅広い投稿が得られますが、中には推奨したり承認したりしたくないものもあります。人材育成部門の方針や会社のブランドに内容が沿わない場合などです。これはチーム内や、他のステークホルダーと話をして対処すべき問題です。個人的には、分類をしつつ全ての投稿を表示する方法がとても良いと思います。公式なもの、承認されたもの、吟味されたものも含めて、全投稿をポータルやウェブサイトの関連セクションに表示するのです。これによってベストなものに光を当てることができます。そして「承認済」に分類されれば、情報の投稿者にとっては名誉なこととなるのです。
良い資料の作り方を教えましょう
良い資料の作り方についてイベントを開催するのも、知識共有の取り組みをアピールする方法の一つです。インタラクティブPDFの作り方、ビデオ編集の仕方、よい研修設計の特徴などを教えることで、ずっと良い品質の知識共有が可能になります。
報酬を組み込んで、脳科学の知見を活用しましょう
脳科学の研究によると、何かを増やしたい時は、それを認識して報酬を与える必要があります。ですから、知識共有があった場合には常に感謝を示すようにしましょう。部門別の投稿数を把握し表彰制度を設けたり、友好的なコンペを設定したりすれば、知識共有を楽しくてやりがいのあるものにすることもできるでしょう。
自らの投稿を定期的に整理して、コンテンツを常に新鮮で有意義なものにしましょう
自社の仕事のプロセス、マインドセット、能力の形成、パーパス(存在意義)に関連するコンテンツを定期的に供給することで、学びのチャンネルが各チームにとって頼れるリソースとなるようにしましょう。チームメンバーは、そのチャンネルに行けば有意義なリンクが得られ、大きな検索エンジン(Google, Bing, Firefox)で調べる際のノイズや時間が省けると思うようになるでしょう。また、直近に実施したイベントのトピックを紹介して学びを拡張することもできるでしょう。主たる教材を作成したら、最良で最も関連性の高い副教材を紐づけましょう。これにより、多様な学び手に対応し、より深い探求や代替方法を提供できることになります。
資料の情報元を忘れずに明示しましょう
チームメンバーが共有する資料は学びの伝達には貴重なものですが、その情報元や著者にとっても大切なものです。それらを明示することで、学び手により深い探求を促すことも可能となります。
これまで紹介してきた今すぐ使える知識共有ツールを活用すれば、人材育成を職務とする誰もが組織の中で既に起きている素晴らしい学びを増幅させることができます。そして発展し続ける学びの文化を前向きに強化していきましょう。
この記事は、Britt Andreatta博士のブログに 2020年6月23日に掲載されたものです。 原文(英語)はこちらからご覧いただけます。