ブリット・アンドレアッタ博士のブログから

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「大退職時代」を考える (5)克服するための7つの戦略(1~2)

「大退職時代」をテーマとしたこれまでの記事では、この特殊な時代をもたらした要因を探りました。ここからは未来に焦点をあて、「大退職」を克服するためにリーダーが今すぐ実行できる7つの戦略について説明します。

1. 危機をしっかりと受け止める

半数近くの経営者が、自社の離職率が上昇していると回答している一方で、その多くは重大な変化を起こす必要があることに気づいていません。私は最近、人事部のリーダーが夜も眠れないほど悩んでいることについて議論する場を設けました。ある人はこう言いました。「うちのリーダーはリモートワークに賛成していない。このため、人材確保に苦労している」。また、別の人は、「うちのリーダーは、人手不足の状況を理解していないようだ。より良い(採用)パッケージを構築しなければならない」と。

経営学、経済学、心理学の研究者たちも皆、同じように悪い予兆を感じています。この権力のシフトを甘くみてはいけません。組織が生き残るには、リーダーが従業員のためによりよい職場をつくるべく迅速かつ果敢な行動をとる必要があるのは明白です。

Grokker社*1のCEOであるLorna Borenstein氏はこのように言います。「多くの企業がすでにつらい離職を経験し、さらに多くの離職を覚悟しており、働きやすさや定着率を改善する、これまでにない魅力ある策を講ずることが喫緊の課題と考えています。これは雇用者にとっては、従業員をいかにケアするかを考え直し、働く側に選んでもらえる組織となって、未来を守るチャンスでもあるのです。」

2. より良い職場を作る

従業員は、自分たちが何を望んでいるか、何を必要としているかを、すでにあなたに伝えているはずです。だから、耳を傾けてください。最低でも、生活に必要な賃金、物理的に安全な職場環境、そして公正さと敬意をもって扱われていると感じられる職場の心理的安全を提供する必要があります。

従業員の獲得競争が生じる中、賃金や給料は上がっています。USA Today紙によると、人件費の予算は4%近く増加し、ここ10年以上の中で最大の飛躍となっています。多くのレストランチェーンやCostco*2、Walgreens*3などの企業では時給をアップさせたほか、アマゾン、ターゲット、ウォルマートなどの企業では、大学の授業料負担や託児所などの特典を設けています。

全米を対象としたある調査によると、ホワイトカラーの労働者は、少なくとも10%の給与アップと、より良い自己育成や昇進の機会を得ながら新しい仕事に就いていることがわかりました。現在の人材を維持したい、あるいは新しい人材を採用したいのであれば、競争力のあるパッケージを提供する必要があります。優秀な人材を確保したいのであれば、より良い処遇が必要だということなのです。

もうひとつの重要なアクションは、管理職を教育することです。最近の調査結果を見てみましょう。

  • 米国の労働者の84%が、能力不足の管理職が多くの不要なストレスを生むと回答している
  • 悪い上司のせいで仕事を辞めたと57%が答え、辞職しなかった人のうち1/3が真剣に退職を考えたと回答している
  • 上司が適切な管理職研修を受けたならば自分のパフォーマンスが向上すると50%の従業員が感じている

適切なトレーニングを受ければ、管理職は成長するだけでなく、良い組織を素晴らしい組織に変える「秘伝のソース」になることができます。Gallup社の調査によると、優れた管理職はチームの生産性とエンゲージメントを高め、新たなトップパフォーマーを惹きつけることが分かっています。自分の組織で管理職の能力不足が与えているダメージと、管理職研修を実施することのメリットを比較衡量するツールも存在しています。

適切なトレーニングを受ければ、管理職は能力を向上させるだけでなく、良い組織を素晴らしい組織に変える「秘密のソース」になることができるのです。

 


*1  法人向けにウェルビーング関連のプログラムを提供する米国の企業。
*2  米国の倉庫店スタイルの小売業。
*3  米国の薬局チェーン。

この記事は、Britt Andreatta博士のブログに2021年12月17日に掲載されたものです。原文(英語)はこちら別ウィンドウで開く/Open the link in a new windowの記事の前半です。

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