リクルーターと人工知能:敵か味方か?
2020年に出版された「AI白書 」によると、欧州委員会は欧州経済と労働市場に人工知能を全面的に取り入れたようです。人工知能は雇用・採用セクターにおいてもとても大きな可能性を秘めています。
「採用活動はどのようにすれば効率化できるのか?」という問いにも、人工知能の世界は答えをもたらしてくれます。
企業の採用候補者のサーチ、スクリーニング、選考、最終的なフィードバックといった採用プロセスの全てのフェーズで、様々なテクノロジーが人事をサポートできます。チャットボット、ゲーミフィケーション、そして人工知能等のアプリケーションは候補者のスキルや態度を数値化し、意思決定のための徹底した客観的データベースを提供することで、採用コスト削減に貢献し、人事領域をより戦略的かつ効率的にすることができるのです。人工知能を搭載した機械の使用により、人間の無意識による恣意的、主観的判断を排除することも可能になります。
このように業務的にも経済的にも多くのメリットがあるにも関わらず、数多くの人事担当者はテクノロジーの活用に躊躇しています。具体的には、人工知能などが人事領域において極めて重要な「人間的な」部分を排除し、従来の面接のような直接的なやりとりを候補者にとって人間味のない、つまらない体験に変えてしまうのではないかという懸念があるためです。自動化によって、人事部門の重要なスタッフが職を離れてしまうのではという心配もあります。
人工知能は人を代替するものではなく、人を補完するものであると捉えれば、業務面や経済面の観点のみならず、戦略的な観点からもそのメリットは否定のしようがないでしょう。しかしながら、元来人工知能は人間がプログラミングしたものであり、機械が学習できる既存のデータに基づいているという限界があります。万能のソリューションと考えるのも早計でしょう。
ここは、人工知能を賢く活用することにより、人間の創造性や感情を必要とする業務に人事が多くの時間を割く事ができるようになると考えるべきでしょう。
これからの時代はスマートなテクノロジーとヒューマンタッチが融合する時代となるのです。
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