職場における「つながり」の築き方(2)具体的な方法
社員のつながりを築くための3つの方法
人間関係の種類によって、必要なアプローチは異なります。したがって、3つのタイプのつながりのそれぞれについて戦略が必要です。
組織の中で人脈を築く上では、3つの「つながり」があります。
- チームメイト間の1対1のつながり
- チーム間の1対1のつながり
- チーム内における多対多のつながり
チームメイト間の1対1のつながり
職務上のチームにおける個人間のつながりと信頼は、思いやりを示すことによって築かれます。このつながりを築く最良の方法は、心理学者のHarry Reis氏が言うところの「反応性」を高めることです。反応性は、相互理解、検証、思いやりによって築かれるものです。これは、有意義な会話、つまり2人の人間が相互にストーリーや課題を開示し、積極的な傾聴を行って、相手が自分のことを気にかけており、承認されていると感じられるようにすることで生まれます。
これらはピアコーチングの会話にほかならず、コーチングにおける重要な信条である「積極的な傾聴」「アドバイスの回避」「説明責任」に従っています。
チーム間の1対1のつながり
部門を越えたバーチャルなつながりの構築は最も難しいものですが、それをするためには雇用主はまず、個人間のコネクションに着目する必要があります。まず、2人の間に共通する何かを通して結びつけることで、帰属意識を高めることから始めるべきです。これは一般的に、管理職研修(全管理職が対象)、新人研修(新入社員が対象)、同好会組織(共通の興味・アイデンティティを持つ集団が対象)などの企画を通して行われます。また、何らかの共通点に基づいて1対1で人をつなぐこともできます。
しかし、紹介だけでは十分ではありません。当社の調査によると、リーダーは、実際につながりを実感するためにはコーチング的な会話をする場所とそれを運営する力を備える必要があることが分かっています。このようなコーチング的な会話は、問題解決や能力の発揮に焦点を当ててこそ、境界を越えた信頼構築につながることが研究により明らかになっています。
チーム内における多対多のつながり
グループの中で互いのつながりを構築するには、個々として、また集団として、経験や課題、目的を共有することが必要です。リーダーは、週次、月次、四半期、年次のチーム交流を設計し、経験や課題、目的を共有する時間を意図的に組み込む必要があります。
経験の共有:
ハイブリッドワークの最大の課題のひとつは、科学者が「シンクロニシティ(共時性)」と呼ぶ瞬間を作り出すことです。チームのメンバー全員が同時に何かを経験したり実行したりすることで、つながりの感覚が生まれます。私たちは非同期で仕事をすることが増えていますが、これは柔軟性を高める一方で、つながりの感覚を損なうことにつながっています。単に進捗確認のミーティングをすればよいのではなく、全員が実際に何かを成し遂げたり、意味のあることを一緒に経験したりすることを指します。
課題の共有:
チームがつながりを感じるのは、苦労を共有したとき、つまり共に登るべき山があるときです。反復的な仕事をコツコツとこなすだけではチームはつながりを感じません。新しいレベルに達することができたとき、あるいは成功したとき、私たちは結束し、共通のアイデンティティを形成します。それは、大胆で大きな目標の達成でもよいですし、チームメイトの育児休暇をカバーしたり、挫折を克服したりすることでもよいでしょう。
目的の共有:
自組織の目標の背後にある「なぜ」を明確にし、自分たちの仕事が目標の達成にどのように役立つかを理解することで、チームは結束することができます。リーダーは、チームが明確な目的を持ち、自分の仕事がいかに成功に欠かせないものであるかを全員が理解していることを確認する必要があります。スポーツのチャンピオンになったチームや、パフォーマンスの高い救急医療チームなどは、目的を共有することでつながりを生み出している好例といえるでしょう。
仕事でのつながりを妨げる主な障壁
企業は、リモートワークやハイブリッドワークの職場で失われがちなつながりを生むためのインフラの構築に苦労しています。
多くのリーダーたちは、人間関係や人脈は自然に生まれるものだと考えていますが、当社が2022年に行った職場に関する調査では、実際にはその構築に極めて苦労していることがわかっています。週2時間以上かけて人間関係を構築しようとしているにもかかわらず、人々は、誰が、どのように、どこで関係を構築すればいいのかに悩んでいます。87%の人が、人間関係の構築にもっと時間をかけたいと考えており、さらに週に平均2.5時間を費やしてもよいと考えています。問題は、時間を有効に使うために必要な支援を組織から得られていないことです。
組織は、ワークフローや情報共有をサポートするインフラは構築していますが、つながりによって生まれる資産を構築するためのテクノロジーにも目を向けるべきでしょう。
この記事の原文(英語)はこちらの記事の後半です。
https://www.imperative.com/employee-connection
この記事は、Imperative社のご厚意により掲載しています。
Imperative社は、職場における人間関係やつながり感を取り戻すことをミッションに掲げる米国のB Corporationです。(B Corporationとは、米国の非営利団体B Labによる国際認証制度で、環境や社会に配慮した公益性の高い企業が認証されるものです)
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