芦屋学園高等学校 田 哲 さん

―今回のエッセイのトピックを選んだ理由を教えてください。

田さん:2023年の夏に高校のプロジェクトの一環でカナダへ短期留学しました。ホストファーザーと会話をする中で、僕の母国である東洋の文化や価値観を伝えて理解してもらえたことに大きな喜びを感じました。それまで僕は、自分に日本と韓国と中国という3か国の血が入っていることに対して「自分は何人なんだろう」と苦しんでいました。しかしホストファーザーとの交流を通じて、自身の背景にある3か国の文化を、遠く離れた異文化の人に伝えることができる喜びを感じることができました。このことは僕にとって人生の大きなターニングポイントとなったので、この経験を書こうと思いました。

―どのようなプロセスで書き進めましたか?

田さん:ホームステイ中はホストファミリーとたくさん話して英語力を高めたいと思っていたので、積極的にコミュニケーションをとり、その日の会話で印象的だったことを日記に書いていました。それは日本語で書いていたのですが、あらためて記録していると、自分の悩みに対してホストファーザーが的確な答えを与えてくれていることに気が付いたのです。これこそが「国境なきコミュニケーションだ」と思い、エッセイにまとめて、IIBC高校生英語エッセイコンテストに再び応募しようと思いつきました(※2022年に初めて応募し、特別賞を受賞)。帰国する前にエッセイの内容と起承転結はある程度できあがっていました。「A Global Catalyst」というタイトルは、「世界の架け橋」という意味でつけました。今回の体験を機に、母国の伝統文化を世界の人々に広める役割を担いたいと思ったからです。Catalystは「触媒」という意味ですが、Catalystという単語は父が仕事の関係でよく口にするので僕にとっては馴染みがあることと、少し変わった表現になって面白いのではないかと思いました。

―英語でエッセイを書く中で、気付いたことや学んだことはありますか?

田さん:日本語や韓国語といった自分の母国語なら書きたいことを自由自在に表現できるのに、英語となると難しいです。「あの感覚や感情をどう表現したらよいのだろうか」と試行錯誤しました。それで気付いたことは、日本語の文章をもとに英語に置き換えていくと、自分の感情をそのままに伝えることが難しいということです。日本語の場合は直接的な表現よりも少し遠回しな表現の方がよいとされていますが、英語の場合はいかにダイレクトに表現できるかが鍵となるからです。今後エッセイを書くときは、日本語脳と英語脳をはっきり切り替えることが必要だと思いました。

―受賞を知ったときのお気持ちは? また、2年連続で表彰式に参加されていかがでしたか?

田さん:担任の先生から受賞を聞いたときは、隣にいた友人と抱き合って喜びました。表彰式では同じテーマでエッセイを書いて高い評価を受けた他の受賞者と会うことに少し緊張もしましたが、喜ばしくもありました。親睦会では、みんなでエッセイに書いた内容を教え合ったり、体験談を話したりし、共感できることや学ぶことが多く、とても楽しかったです。

―英語のライティングに関して、どのような勉強をされていますか?

田さん:僕は書きたい内容がたくさんあるので、あれもこれもと思ってしまい、簡潔にまとめることが苦手です。まとめる力をつけるために、読み手を想定して書くようにしています。子どもが読むのか、生徒や先生が読むのか、といったことを意識すると、何を書くかの取捨選択ができるようになります。また、英字新聞を読み、大事だと思った一文にマーカーで印をつけ、そのマーカーを引いた部分だけを抽出して英文にまとめなおす練習もしています。時々ですが、BBCニュースを聞いて感想を英語で書く練習もしています。

―これから本コンテストに挑戦する高校生に向けて、アドバイスをお願いします。

田さん:エッセイを書くときは日本語脳と英語脳で切り分けた方がよい、と言いましたが、最初からそれは難しいので、まずは自分の言いたいことを日本語でも英語でもかまわないのでシンプルに書きだしてみましょう。伝えたい要素が明確になったら、それを表現するのにふさわしい英語を探して、英文にしていきます。簡潔で洗練された表現を心がけるとよいと思います。

―将来の夢や目標を教えてください。

田さん:将来はユネスコに入って、僕の母国である日中韓の世界遺産の魅力を世界各地からの観光客に知ってもらうような活動をしたいです。もともと歴史が好きということもありますが、趣味の一環として、世界遺産検定も受験しています。

(本記事の取材は2024年2月に行いました。)

お問い合わせ

一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 IIBC高校生英語エッセイコンテスト事務局


ページの上部に戻る/Back to TOP