株式会社資生堂 GIC統括部 総務管理グループ マネージャー
山田 聡美 氏
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英語の公用語化を進める中、苦手意識のある社員一人ひとりをケアする
日本語をあまり得意としない外国籍社員が増え、英語でのコミュニケーションが不可欠に
神奈川県横浜市にある株式会社資生堂の「資生堂グローバルイノベーションセンター(以下、GIC)」は、研究開発拠点であり、多くの研究員が在籍しています。研究員にとって英語は、情報収集や論文の執筆、学会での発表などにおいて、不可欠なものとなっています。
「当社は、2018 年より本社部門の英語公用語化に取り組んでいますが、近年GICでも、日本語をあまり得意としない外国籍社員が急速に増えてきました。そのためGICでも研究員はもちろんのこと、人事、経理、総務といったスタッフ部門の社員においても、一定の英語力が求められるようになってきています。様々な場面で英語を使用するGICは、英語公用語化の動きがいち早く進んでいる部門といえます」
こう語るのは、GIC統括部総務管理グループマネージャーの山田聡美氏です。山田氏は、GICにおいて社員の英語力向上を図る、推進リーダーの1 人です。
同社では現在、全社員にTOEIC L&Rのスコア730点以上を努力目標としています(ただし管理職は必須目標)。例えば、日本語をあまり理解できない外国籍社員が部下になった場合、上司の英語力が不足していれば、適切な指導や人事評価は困難になります。会社全体がグローバル化していく中、同社の社員にとって英語は、避けては通れないスキルとなりつつあるのです。
英語ができるかどうかより一生懸命学び、使おうとする姿を評価する
今回、IIBCが行った調査では、多くの企業・団体が、実施している英語教育施策として「研修機関からの講師派遣による社内研修」を挙げていますが、同社も語学学校と連携し、社員向けの講座を開講。ただしGICに関しては、連携している語学学校が事業所の近くにあるため、就業中に語学学校に通える制度になっています。クラスはTOEIC L&Rのスコア帯別に編成。スコアが上がれば上のクラスに移行し、730点をクリアした社員には、次なるステップとしてTOEIC S&W向けの講座や、ディスカッション力を高めるための講座が設けられています。
山田氏はこうした取り組みを実施する上で、「英語に苦手意識を抱いている社員の学習意欲をいかに引き出し、英語力を伸ばしていくかに一番力を注いでいる」と話します。GICでも、ほかの企業・団体が抱えているのと同じ課題に直面しているようです。
「まず重視しているのは、英語が苦手な人を見下さない雰囲気づくりです。英語ができるかできないかではなく、一生懸命英語を学び、使おうとしている人を評価し、応援していこうという雰囲気の醸成に注力しています」
もう1つ山田氏が心がけているのが、社員一人ひとりに対する言葉がけです。山田氏は、スコアが伸び悩んでいる社員に「勉強する時間はとれている?」と声をかけています。すると社員は、「リーダーが見守ってくれている」と感じ、挫折せずに英語学習に向かうようになるそうです。また、つまずきの原因を探った上で、それを取り除くための特別講座も設けています。社員のモチベーションを高め、組織全体で英語力のボトムアップを図っていくためには、きめ細かいサポートが不可欠になることを、GICの実践例が教えてくれています。
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