英語対応可能なスタイリストを育成し
外国人旅行者のニーズに応える
世界を舞台に活躍するスタイリストを育成
訪日外国人旅行者の消費が、モノ消費からコト消費へと変化していると言われる昨今、ヘアサロンでカットやヘアカラーなどを楽しむ旅行者も現れています。国内に4店舗、海外に6店舗※のヘアサロンを構える株式会社assortでは、国内店舗の来店客のうち約7割を外国人が占め(2019年時点)、スタッフは英語で対応。スタッフの英語力を高めるため、スタイリストやアシスタントを対象に、英語講習などを実施しています。
代表の小林憲氏は、アメリカで生まれ育ち、高校卒業後に美容師を志して、「技術力を身に付けるなら日本が良いのでは」と思い、来日しました。美容学校卒業後、小林氏はサロン勤務などを経て独立し、サロンの一部を借りる面貸しサロンで事業を開始。当時、お客様はほぼ日本人でしたが、英語対応ができることをアピールし続け、外国人のお客様を少しずつ増やしていったそうです。そうしていく中、英語を学びたいというアシスタントに対する育成を開始。インターナショナルな雰囲気を持った店作りを目指し、11年にassortを開業してからも、従業員への英語講習を続けてきました。
※国内、海外ともにフランチャイズを含む。2020年3月現在
英語講習は週1回、店舗ごとに実施。内容は、参加メンバーの英語力などを考慮して決められ、基本的な文法や英会話から、ヘアスタイルについてなどの専門的な内容まで多岐にわたります。また、担当の外国人講師が、各スタッフの英語レベルを4段階に設定。同社Webサイトのスタッフ紹介ページに「ENGLISH LEVEL」が記載され、スタッフのモチベーションにもなっています。
13年以降、海外展開を推進し、ニューヨーク、香港などへ出店したことで、海外で働きたいと考えるスタッフが増加。また、口コミなどにより国内店舗の外国人客数も増えたそうです。「日本人スタイリストの可能性を感じていたので、海外展開を進めていきました。世界を舞台に活躍するには英語でのコミュニケーション力が必須です」と小林氏は語ります。同社では、香港店での実務研修も行っており、国内で入社したスタッフ全員が、入社後半年間、香港店で働きながら、生活を送ります。香港出身のスタッフやお客様との会話など、英語を使わざるを得ない環境を作ることで、英語でのコミュニケーション力を高めているそうです。
分からないことはお客様に直接聞いて英語の表現力を高める
原宿店スタイリストの有田雄大氏は、英語講習や香港での研修、日々の接客を通じて、英語力の伸びを実感しています。
「一番勉強になるのは接客中です。外国人のお客様と話していて、分からない表現が出てきたときには、その意味を聞き返すようにしています。すると、違う表現に言い換えてくださるので、それを覚えて表現力を身に付けていきました」と有田氏。
今では、担当のお客様の約半数が外国人(19年時点)。外国人のお客様は、スタイリストにアーティスト性を求める人が多いため、自らスタイルを提案することを心掛けているそうです。
同社では新型コロナウイルス感染症の影響で外国人客数が大幅に減少してしまったため、「今後は日本人と外国人客数のバランスにも配慮する」と小林氏。客層の構成比率は変わるものの、これまでどおり国籍を問わず、全てのお客様に良いサービスを提供して、インターナショナルな雰囲気は崩さずにいきたいと、気持ちを新たにしていました。
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