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実用的な英語力測定のために外部試験を導入
基礎力をかため、英語4技能の向上を目指す
慶應義塾中等部は、慶應義塾の一貫教育校としての伝統を受け継ぎながら、中等部独自の英語教育を行っています。生徒の英語学習歴は様々で、入学して初めて英語に触れる生徒もいれば、慶應義塾幼稚舎(小学校)から内部進学した生徒は、小学1年生から6年生まで英語教育を受けています。また、生徒の中には英語圏からの帰国子女も在籍しています。
「本校は一般的な中高一貫校とは異なり、全員が同じ高等学校に進学するわけではないため、高等学校と連動したカリキュラムを組むことはありません。英語科としては、本校の生徒が、慶應義塾に5つあるどの高校に進学しても、問題なく授業についていける英語力とともに、一般社会に出て使える、実用的な英語力も養っていきたいと考えています」と語るのは、慶應義塾中等部英語科教諭の江波戸愼氏です。江波戸氏は2020年まで、慶應義塾大学外国語教育研究センターの副所長を務められていました。
同校の授業では、英語4技能の統合的な修得を目指し、英語I、英語II、英語IIIの3つを柱とするカリキュラムを導入しています。
英語Iは、学習指導要領の指針に沿ったカリキュラムで、文法などを中心に英語の基礎力を身に付けます。
英語IIは、ネイティブスピーカーの教員と日本人の教員のチームティーチングで、コミュニケーション力の修得を重視した授業を行います。生徒同士がペアになり、交互にスピーキングやリスニングを繰り返した後、ライティングやリーディングに発展させていきます。学習内容に応じて、1クラス42人の生徒を、複数のグループに分けて授業を行うこともあります。
「少人数教育を大事にしていますが、大人数で行ったほうが、学習効果が上がることもあります。教員ではなく、英語が得意な生徒から学ぶ場面もよく見られ、多様な生徒がコミュニケーションを楽しみ、お互いに補い合いながら力を付けています」
英語IIIは、週に1時間、習熟度別クラスで行い、1年生は2レベル、2、3年生はBasic、Intermediate、Advancedの3レベルを設置しており、Advancedクラスは、ネイティブ教員による4技能統合型の授業を行っています。
英語力が上がった生徒はTOEIC Bridge® L&R IPテストスコアも向上
同校が、TOEIC Bridge L&R IPテストを導入したのは2019年度からで、現在では、年に1度、2、3年生全員が受験しています。
「外部試験を導入したのは、生徒が一般社会で通用する英語力を、どの程度身に付けているのか測定するためです。また、様々な英語学習歴を持つ生徒がいる中、定期試験ではハイスコアが取れなくても、実用的なテストでは良い結果が出せるといった、隠れた力を発揮させてあげたいという思いもありました」
同校が導入へと踏み切る際、授業時間内に英語科教員だけで実施運営が可能で、将来的な4技能測定が可能であることが決め手になったそうです。
「TOEIC Bridge L&R IPテストの問題内容は日常生活に結び付いた質の高い問題であったため、一般社会で通用する英語力を測ることができると思いました」
また、学校の定期試験に慣れている生徒たちにとって、外部試験を受けることは良い刺激となり、学習意欲の向上にもつながっていきます。
「外部試験を受けることによって、生徒は自分の弱点を把握するとともに、伸びている点も知ることができるため、学習を見直す良いきっかけになっています。また、TOEIC BridgeL&R IPテストの導入から2年経過したので、伸長度の検証を行ったところ、英語力が向上している生徒は、テストのスコアも上がっており、適正に評価されていることが分かりました」
2年連続でスコアが最高点だった生徒もいるため、今後の課題は、ハイスコアをとった生徒へのフォローだといいます。
「TOEIC Bridge L&R IPテストで一定以上のスコアをとった生徒には、TOEIC Bridge S&W IPテストも受験できるようにするという次のステップを考えています。外部試験を活用することで、『将来、国際的な舞台で活躍したい』と夢を抱く生徒たちを、応援していきたいと思っています」
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