タレント
鈴木ちなみさん
1989年岐阜県生まれ。2008年にモデルとしてデビュー。ファッション雑誌のレギュラーモデルや企業のキャンペーンガールに抜擢される。TVではTBS「日立 世界ふしぎ発見!」、岐阜放送「鈴木ちなみの元気のみなもと『ちなみな!』」などでレギュラー出演を果たし、フジテレビ「ファースト・クラス」にも出演。映画出演は「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」「BRAVEHEARTS 海猿」「永遠の0」などがある。CM・雑誌にも多数起用される。20年2月に結婚し、22年6月に家族とともにシンガポールへ移住。特技は書道、新体操。
フジテレビ系「めざましどようび」の海外ロケコーナーで、2年間レポーターを務めたタレントの鈴木ちなみさん。当時は月の半分を海外で過ごし英語を使っていました。元々は英語が得意ではなく、レポーターの仕事が決まってから本格的に学習を始めたそうです。現在住んでいるシンガポールでも日々英語力をアップデートしています。
“Heart to Heart”で、相手とつながることが大切
テレビの海外レポーターに抜擢され英語を基礎から学び始める
アメリカやヨーロッパ、アジア、中東など様々な地域の見所を現地取材してレポートする、「めざましどようび」の人気コーナー「鈴木ちなみのTOP OF THE WORLD」。そのレポーターとして私が活動を始めたのは、2012年、21歳のときのことです。
私は、モデルの仕事を始めてから、「仕事で海外に行きたい」「海外には自分の知らない世界がたくさん広がっている」と事あるごとにマネージャーに話していました。
きっかけは、高校1年生のときに、母に勧められて参加した、アメリカでの2週間語学研修プログラムです。私は英語がそれほど得意ではなかったのですが、ネイティブスピーカーの先生やホームステイ先の家族と毎日会話を交わしているうちに、「英語ってしゃべるのがこんなに楽しいんだ!」「こんなに心を通わせられるのだ」ということを体感したのです。
海外の人と英語でコミュニケーションを取る楽しさや成功体験が忘れられず、もう一度味わいたいと考えていました。その念願がかなったというわけです。 ただ、レポーターになったものの、現地に行ったら思うように英語が話せませんでした。正直なところ、レポーターといっても、取材の交渉や現地の方と話すときの通訳はコーディネーターの方がしてくださるので、英語を話せなくても何とか務まります。
しかし、現地の取材をするなら、レポーター自身も英語が話せるに越したことはありません。日本語しか話そうとしないレポーターよりも、多少拙くても英語で話そうとするレポーターの方が、取材相手も心をひらいてくれ距離がぐっと縮まると思い、本腰を入れて英語を学び始めました。
何より、私自身が、自分の力で海外の人とコミュニケーションを取りたかった。ロケ先で、相手から話しかけられても言っていることが分からず、「ハハハ…」と笑って返すみたいなシチュエーションが何度もあり、相手の話をきちんと受け取って、少ない単語でもいいから返したいと思ったのです。
「あなたのことを知りたい」というパッションを持ったアクションが、相手を動かす
英語のレッスンは、ネイティブスピーカーと日本人講師のもとに通い、ネイティブスピーカーの講師からは英会話や発音を、日本人講師からは文法や発音記号を習い、特に、文法は一からやり直しました。
その上で、月の半分を海外でロケするうちに、だんだんと取材相手の英語が理解できるようになり、言葉を返せるようになりました。コーディネーターの方が不在で、ディレクターとカメラマンと私の3人で取材をするときは、私が通訳することもありました。
このように現地で話す経験を積み重ねることで、私は、英会話で最も大事なことをつかんできました。それは「パッション」です。
多少、文法が間違っていても恥ずかしがらずに、「伝えたい」という気持ちを強く持って、何とか伝えようとする。相手の話を聞くときは、相手の目を見て、「あなたのことをすごく知りたい」という気持ちを全面に出す。
そうすると、相手にもその気持ちが伝わり、一生懸命聞いてくれたり、分かりやすく話してくれたりする。ひいては、相手と心を通い合わせることができる──。そのことを強く実感したのです。今でも鮮明に覚えているのは、アラブ首長国連邦のドバイで、砂漠に沈む夕日を撮影したときのことです。
私の撮影シーンが終わり、付き添ってくださったドバイ在住の女性スタッフの方と並んで夕日を見ていたとき、「すごくきれいだよね。私、自然が大好きなんだ」と話しかけたら、「私も自然が好きで」と乗ってきてくれて、色んなことを話したのです。すると、「忙しいと心がなくなるよね」というように、自然とお互い「心」について語っていました。そのときに、「あ、心が通い合った」という感触を覚えたのです。
一方的に話すのではなく、会話のキャッチボールをして、“Heart to Heart”で相手とつながる。そんなコミュニケーションを取ろうとすることが、英会話をする上ではとても大事だと思います。
分からないときこそ新しい言葉を知るチャンス
22年6月に、夫の仕事の都合で、シンガポールへの移住を発表しました。海外に住むのはこれが初めてです。
移住直後の2週間は、現地の人の英語が全く聞き取れず、落ち込みました。シンガポールならではの英語の発音があり、耳が慣れるまでは大変でした。移住して半年が経ちましたが、英語で悩むシーンは今でもたくさんあります。
例えば、子どもが熱を出したりお腹を壊したりして病院にかかったときに、症状をどうやって説明すればいいかが分からない。病院に行く前に下調べはするのですが、それでも分からない言葉が出てきます。
そこで最近強く意識しているのは、分からないときは「分からない」とその場できちんと言うことです。聞き返すのが恥ずかしくて流していると、せっかくの新しい単語を知るチャンスを逃してしまいます。
実生活で間違えたり、分からなかったりした単語は、シチュエーションも一緒に頭に入るので、適切に使えるようになりますし、記憶にも定着しやすくなります。「えっ?」みたいな反応でもいいので、聞き返すことが大切だと思っています。
たくさんの世界とつながれることが、英語を学ぶ醍醐味。勉強しているとくじけそうになることもあるかもしれませんが、その先にはきっと明るい未来があります。それを信じて、頑張ってください。
おすすめ記事
「エア会話」や「実況中継」といったアウトプットの学習を取り入れる
田中 慶子氏
世界観を広げ、好奇心を促す英語学習が年を重ねても脳の成長を推進する
加齢医学研究所 教授
医師・医学博士
瀧 靖之氏
“国際協力” の現場で 業務遂行のカギとなる英語力
整備補給群 装備隊 1等空曹
松本 武蔵さん
航空自衛隊 航空幕僚監部
防衛課 防衛協力班 事務官
阿部 静香さん
グローバル社会の第一線で活躍するために必要な英語力とは
寺内 一 氏
IIBC 執行理事 永井 聡一郎