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ビルや工場の管理システムの企画・開発から販売・メンテナンスまで一貫したサービスを提供しているアズビル。
複数の海外拠点を持ち、競争力強化のためにグローバル人材の育成にも力を入れています。英語力が必須となるなか、TOEIC Testsを採用する背景とスピーキング重視の教育について、人材育成を担当する3名にうかがいました。

アズビル・アカデミー
副学長
小枝 英孝 さん
2008年入社。技術者として経験を積んだ後、経営企画などを担当。2020年よりアズビル・アカデミーに携わる。

アズビル・アカデミー
人材育成グループ
栗原 晴美 さん
国際部、人事部を経て2016年よりアズビル・アカデミーに関わる。社員の自己啓発や自律学習をサポートしている。

アズビル・アカデミー
人材育成グループ
石井 まゆみ さん
SEとして経験を積み、2020年よりアズビル・アカデミーに関わる。eラーニングシステムの構築などを担当。
全社をあげた教育施策でグローバル人材育成を強化
アズビルでは、人材教育の専門機関を設立されているそうですね。
小枝「成長の源泉は人材であり、人材の成長なくして会社の成長はありえない」という考えのもと、以前より人材教育を重視しています。2012年に「アズビル・アカデミー」を立ち上げ、新人研修や若手社員への定期研修など、全社員に対し様々なアプローチをしてきました。2022年からは海外の現地法人も含めた全組織に教育プラットフォームを導入し、多様なコンテンツを提供しています。そのうちの1つがグローバル人材の育成です。
栗原アカデミー創設以前にも、海外との仕事に関心の高い中堅社員向けにビジネスリーダーを育成するプログラムがあり、アズビル・アカデミーの誕生を1つのきっかけとして、教育の間口を広げました。
具体的には、どのような取り組みをしていますか。
小枝たとえば、「アズビル・グローバライゼーション・セミナー」では、今の自分や組織の課題を考え、それに対する解決策のプレゼンテーションをしてもらうのですが、それらすべてを英語で行います。このようなプログラムを6カ月かけて実施し、英語での提案力やコミュニケーション能力を高めるようなセミナーを展開しています。
栗原アカデミーが主体となって実施するインターンシップも、社員たちのグローバルな意識を育むきっかけとなっていると感じます。海外の大学生を各部署で受け入れ、一緒に仕事をするのですが、学生たちは基本的に日本語が話せません。英語でコミュニケーションを取り、異文化に触れる経験は社員たちに刺激を与え、そこから海外に興味を持つ人がたくさんいます。
石井社員たちが英語を話す際、たいていは主語述語をきちんと整理し、間違いのないように考えながら話そうとします。しかし海外の学生は、文法などは気にせずどんどん話しかけてきます。それが海外では当たり前で、リアルな英語を肌で感じられるというのもメリットの1つでしょう。
セミナーやインターンシップの成果や、社員たちの反応はどうでしょう。
小枝日本にいると、英語を使う機会がどうしても限られてしまいます。セミナーやインターンシップは、自らの英語を試し、磨くチャンスとなっていると感じます。英語に触れ続けるなかで、語学力が高まるのはもちろん、グローバルに活躍するためのコミュニケーション能力も磨けます。そうした個人の成長が積み重なり、組織としての成長につながっていきます。
石井私もコーチとしてセミナーに参加しているのですが、そこで思うように英語を話すことが難しかった社員が奮起し、独学でも英語を学ぶようになり、セミナーが終わる半年後には見違えるように英語でコミュニケーションが取れるようになるようなケースは本当によくあります。セミナーでの経験がきっかけとなり、グローバルな舞台で働いてみたいと興味を持ち、実際に海外赴任を希望したり、外国人とのやりとりが発生する部署へ異動を希望したりする社員も毎年必ずいますから、影響力があると感じています。
TOEIC Testsが英語力の成長を実感する指標に
英語学習では、長年にわたりTOEIC L&Rを活用されていますね。
栗原1980年代から団体受験を導入し、「社内英語検定」という名目で、全社員に門戸を開いていました。40年も前のことですが、グローバルな時代になるのを見越していたのでしょう。
2017年にはTOEIC Speaking Testを導入し、現在でも継続して活用されていますね。
栗原コミュニケーションにおいては、まずは「話す」ことが重要です。スピーキングのテストもいつかはやらなければ……という考えはずっとありました。せっかくTOEIC L&Rのスコアが何十年分もあるのだから、同じTOEIC Testsで採用しようと、TOEIC Speaking Testの導入に至りました。コロナ禍をきっかけに一時的に休止したこともありましたが、テストがオンラインで実施できるようになったことで、2024年から再開したという経緯があります。
TOEIC Testsは、どのような形で実施しているのでしょうか。
栗原TOEIC L&Rに関しては、新入社員には毎年4月と9月、そのほかの希望者には2月と8月に実施しています。現在では新入社員には必ず受けてもらうようにしており、そのほかの希望者も多く、年間700名前後が受験します。全社員でいうと、およそ6,000人のうち半数以上はTOEIC L&Rのスコアを持っているはずです。TOEIC Speaking Testについては、TOEIC L&Rのトータルスコアが600点以上、またはリスニングのスコアが400点以上の人を対象に行っています。
石井受験にあたっては、eラーニングによる無料サポートプログラムなど、学習をサポートする仕組みも用意しています。
栗原新入社員については、新人研修でグローバル意識や異文化理解等についての説明を設けたうえで、4月のTOEIC L&Rのスコアをもとに、9月に向けて目標設定を行うような形で活用しています。すでに社内ではTOEIC L&Rが企業文化として根づき、自らの英語力の現在地を知るために毎年必ず受けている社員もめずらしくはありません。また、TOEIC L&Rは「学習すればスコアが伸びる」ものであり、自らの成長をわかりやすく感じられる、1つの指標になっていると思います。
人材教育において、今後の目標をお聞かせください。
栗原アズビル・アカデミーは、「学習する企業体」であるアズビルの社員をしっかりと支える存在でなくてはなりません。そのためには、制度面の検討を含め、社員たちが自発的に学習したくなるような仕組みを整えていく必要があると考えています。会社から「セミナーに参加してほしい」「TOEIC Testsを受けなさい」と言わずとも、社員が思い立ったときに、それにまつわる補助制度や教育プログラムが整っており、学習意欲が湧くような環境の充実を図れるといいですね。
小枝「人生100年時代」と言われるようになり、現役で働く時間も延びつつあります。今後長く成長し続けるためにも「自律学習」は1つのキーワードになるはずです。自発的に学習したくなる仕組みづくりに加え、モチベーションを高めるようなアプローチも必要になるでしょう。もっと英語が話せるようになりたい、もっと成長したい……。そんなマインドセットを育めるような環境にするには、社員が学習したいときに自由に取り組める教育プラットフォームやサポート体制のさらなる充実が、重要になると考えています。
TOEIC L&RはTOEIC Listening & Reading Testの略称。
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