活用事例
近畿大学

【オンライン方式事例】

受験機会の提供を最重要視し、TOEIC® Listening & Reading Testをオンラインに
全キャンパスで受験者が増加

キャリアセンター 課長 稲葉 美香氏

多彩な学部配置と文理のバランスがとれた西日本一の学生数を誇る総合大学

本学は14学部48学科11研究科があり、東大阪キャンパスを始めとして6つのキャンパスを有する総合大学です。2025年には創立100周年を迎えます。

学生数は西日本で1位、全国で3位の3万3,234人が在籍し、文系(51.7%)、理系(48.3%)がほぼ半数ずつという多彩な学部配置と文理のバランスの取れた構成となっています。

本学のキャリアセンターは、東大阪キャンパスを拠点として就職支援をはじめ、学生のキャリアに関するサポートを行っています。

早期・多様化が進む就活事情と就活生の二極化

大学生の就職環境は、コロナ禍で一変しました。学生側の売り手市場は過去のものとなりつつあります。採用選考のスタイルは対面からオンラインに代わり、早期化も進んでいます。

2020年はインターンシップを中心に早くから就職活動に取り組んできた学生たちが順調に内々定を得る反面、のんびりと構えていた学生がコロナ禍での選考の延期や中止により、想定外の大きな影響を受けました。早期化そして多様化はこれから先もさらに進んでいくことが想定されています。

学生たちには就職、進路というキャリアについて1、2年生から意識をし、充実した学生生活を送ってほしいと考えています。本学ではこうした学生生活におけるスキルアップの場として課外講座や資格試験にも力を入れています。

グローバル人材の求人は年々増加
豊かなキャリア形成には語学力が不可欠

本学の入学志願者数は、2014年から7年連続で日本一を獲得しています。この高い入試倍率を勝ち抜いた学生たちが実力と自信を備えた就活生となり、就職活動にチャレンジをすることで大手企業や人気企業への就職者数も年々伸びてきています(スライドⅠ)。これらの企業では語学力は必要なスキルとされていることが多く、また語学力を活かして、グローバルに働くことを意識している学生も増えています。

もちろん地元志向も根強くありますが、グローバルとは海外で働くことだけではありません。学生たちにはグローバル人材として社会で活躍するということを視野に、自身のキャリア形成をしてほしいと考えています。そのためには語学力は欠かせないツールの一つと捉えています。

企業からいただく求人として、例えば、2020年春に第1期生が卒業した国際学部では、語学力や異文化理解といったグローバルな素養を期待されたものが多くなっています。また、理系学部においても業務上で語学力を求めるといった求人は多く、いずれの学部でも語学力を有し、備えることが彼らの選択肢を広げる条件の一つとなっています。

学内への入構制限強化により、初のオンライン実施を決断

本学キャリアセンターでは、TOEIC L&Rを学生のキャリア形成に向けてのスキルアップ、自己研鑽を目的として実施しています。1、2年生から実力試しやステップアップができる環境づくりに注力をし、学生たちが選択の幅を広げられるよう意識しています。

すべての学年・学部・学科の学生が受験できる機会として、例年3~4回、マークシート方式のTOEIC L&R IPテストを実施し、年間で延べ3,000名を超える学生が受験をしています。

今年度は3回(7月、11月、2月)の実施を予定していました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で7月の試験に向けて、実施すら危ぶまれるようになり、オンライン方式への変更を検討し始めました。

例年、7月の試験は、1、2年生の受験も多く、また就活を控えた学生たちが目標スコア達成への過程として受験するといった時期であるため、受験機会を提供するということを最重要視してオンライン実施に踏み切りました。

オンライン実施によりみえた今後の課題

TOEIC L&R IPテスト(オンライン)を実施した上で、いくつか課題がみえてきました。まず、利用した申込フォームが既存のものであり、オンライン試験専用ではなかったため、登録の誤りが非常に多くありました。今後実施を継続するためには専用フォームの構築が必要であると考えています。

受験料の納入については、未納入や過不足の処理、学生の手数料負担が挙げられます。これらについては受付期間の見直しなどが必要と考えています。

受験に際しては、未手続での学生の受験や、二重受験といったケースも生じました。これらについては、受験料の納入をした学生のみ事前にIDとパスワードを発行する手順に変更することで解消できると考えています。

受験者情報登録画面での入力誤りも多数みられました。従来であれば説明を受けながら記入していたものが、学生自身の判断で入力をしていくため、マニュアルの読み込み不足や思い込みでの入力が多いことが原因と考えています。

また、学生によって受験理由は多様なことから、スコアの取り扱われ方についても課題となりました。大学院入試や授業科目への加点のための受験者もおり、「スコアが認められないことはないのか」といった質問もありました。今回は、オンライン受験で得たスコアの有効性は提出先の判断によるため、スコアの提出が必要な場合には、あらかじめ確認をするよう注釈を入れて対応いたしました。

ノウハウ次第でスタッフの業務量が軽減
24時間受験可能・即結果表示で学生にもメリット

一方でオンライン実施には大きなメリットもありました。まず、運営側のメリットとしては受験会場となる教室の確保や試験監督の手配が不要であったこと。IIBCのヘルプデスク営業時間内での受験を推奨したことで、受験期間内における大学への問い合わせがほとんどなかったことなどが挙げられます。

業務的には初回の実施ということもあり、受験日まで担当スタッフは繁忙を極めましたが、台風や公共交通機関の影響といったことを心配する必要もなく、受験日当日のトラブルが減ったこともメリットと考えています。

今後、申込から受験までの業務に関するノウハウができれば、学生への万全の支援体制も可能となり、従来の実施形式よりもスタッフの業務量軽減につながるものと考えています。

また、受験日が複数日設定でき、時間も24時間提供できるということは、学生側のメリットにもなり、ひいては未受験率の低下につながります。さらに、受験後すぐにスコアが確認でき、後日web上でのダウンロードが可能という点も、学生にとっては非常に利便性が高いものとなっています(スライドII)。

オンラインならではの手軽さで、受験者数は大幅増

結果として、2020年7月に実施したTOEIC L&R IPテスト(オンライン)の受験者数は1,304名と、例年7月のマークシート方式の試験と比べ大幅に増加しました(スライドIII)。

学部別の受験者数を比較してみると、東大阪キャンパスにおいては国際学部の受験者数が3.6倍の216名に。さらにその他のキャンパスからの受験者数も増加し、全体の受験者数に大きく影響しました(スライドIV)。

オンライン方式への変更により、東大阪キャンパス以外の奈良・和歌山・広島・福岡の各キャンパスの学生も対象として実施できたことに加え、自宅でも受験可能という手軽さで学生の受験に対するハードルが下がったことなどが奏功したのだと思います。

(2020年9月取材)

(テスト名称を含め掲載情報は取材当時のものです)

Q&A

テストを実施するにあたり、学生への告知はどのようにされていますか。またオンライン実施で異なることはありましたか?
学生への告知はポータルサイトを利用して配信しています。従来であれば、年間スケジュール、申込開始や締切、受験日に案内を配信しています。
今年度はオンライン実施であったため、試験方式や実施についての詳細を加え、昨年と比べ倍となる15回程度の配信を行いました。
TOEIC L&R IPテスト(オンライン)を導入するにあたり、受験料の納入方法はどのようにされましたか?
本学には、オンライン試験専用の振込口座はなく、またコロナ禍で学生は構内への立ち入りができませんでした。そのため、課外講座を業務委託している業者へ委託することで、課外講座の受付システムを利用しての申込や受験料納入の取扱いを行うようにしました。
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