リアリティのある問題設定は、実践的な英語力の育成に効果的
宮城県仙台第三高等学校
WEBサイト生徒の強みと弱みを知ることができる
TOEIC Bridge® Testsを実施してみて
- 英語力を様々な角度から分析することができる
- 今後必要となる授業・指導内容の方向性が分かった
- リアリティのある様々なシーンで英語を使う疑似体験ができる
英語4 技能を駆使した授業を実施
本校は、国際的な科学技術関係の人材を育成するため先進的な理数教育を実施する、スーパーサイエンススクール(以下、SSH)指定校です。コースは、SSHのカリキュラムに特化した理数科(2クラス)と、普通科(6クラス)とに分かれていますが、英語に関しては、ともに4技能を駆使した授業を実施。「自分の発信した内容が相手に伝わったときの喜びを実感し、英語の楽しさを知ってもらいたい」という思いがあり、特にアウトプットする能力の育成に注力しています。
ペアワークを中心に英語で伝えるスキルを磨く
普段の英語の授業では、両コースともに、ペアワークを中心に据えた取り組みを行っています。
例えば、リーディングの教科書に出てきたトピックを基に話を広げながら、教員が英語で問いを投げかけ、それに対し生徒が思いついたことをペアになって英語で話し合い、クラス全体で共有しながら自分の意見を深めていきます。
その際、英語でどう言えばいいのか迷っている生徒がいれば、答えやすい問いに言い換えたり、ヒントになる語彙を与えるなどして教員がファシリテート。英語で論理的に自分の意見を伝える表現やスキルを養うようにしています。
また、理数科には、2年生の12月に、研究成果を台湾の高校生と英語を用いてプレゼンテーションし合うことを目的にした研修旅行があります。その一環として、東北大学の留学生に、研究発表に必要な英語について随時教えてもらっています。このとき重視しているのは、分からないことを英語で質問することを通してレジリエンスを身につけることです。ただ一方的に教わるのではなく、質問することで即興でのコミュニケーションに対応できる英語力を身につけていけるよう、教員がサポートしていきます。
研究発表を終えて3年生になると、大学入試に役立つだけでなく、理系の場合は入学してしてからも必要になる、ライティングの能力を重点的に高めていきます。
普通科においても、韓国やマレーシアの方たちと交流するなど、実際に英語を使う機会をできる限り設けるような取り組みを行っています。
弱みを知り適切なフィードバックを行う
英語でアウトプットすることに重点を置いた授業を行う中、課題となっているのが、スピーキングに対する評価です。教員間において採点基準を設けていますが、採点者が異なればどうしても評価にぶれが生じてしまいます。そこで今回、TOEIC Bridge Testsではどのような評価になるのか、また、テスト内容自体も知りたいという思いからテストを実施しました。
アウトプットの英語力を測定するスピーキングとライティングに関しては、普段の授業と問題の内容に大きな違いがないといった印象を受けました。同じような内容を、それぞれのテストでアウトプットさせることによって、「すらすら書くことはできるが、話すときには時間がかかる」ということも測定することができるため、英語力を様々な角度から分析することが可能なテストであることが分かりました。
また、例えばリスニングでは、短いセンテンスと長いセンテンスのどちらが得意なのかなど、スコアレポートを見れば生徒の強みと弱みを知ることが可能です。弱みを克服するためには何が必要なのか。語彙力が必要なのか、聞く量を増やしていけばいいのかといった分析を行うことで、より具体的で細かなフィードバックをすることができました。受験した後、それほど時間がかからずスコアレポートを入手できたことも、素晴らしいと思っています。
様々なシーンの疑似体験ができるテスト
今回の受験に関して生徒たちに行ったアンケートの中に、「『メールに返信する』という意味が分からなかった」という意見がありました。生徒たちはメールをする経験がまだないため、理解できなかったのだと思います。一方、「普段の生活場面が想像できて楽しかった」というも声もありました。これらは、TOEIC BridgeTestsの問題は、リアリティのある様々なシーンが設定されているためで、面白い反応だと思いました。
実践的な英語力は、様々なシーンを想定しながら身につけていく必要がありますが、学校で使用している教科書などでは限界があります。私たち教員もそれらを補うような授業を工夫しながら行っていますが、教材として適したものがあるわけではないので、TOEIC Bridge Testsを教材として、普段の授業に導入することも1つの方法だと感じています。テスト問題を通して様々なシーンを疑似体験することで、より実践的な英語力を身につけていくことができるのではないでしょうか。
多くの学校が、スピーキングやライティングの授業において試行錯誤されていると思いますので、その解決策としても役立つ可能性があると考えています。
受験した生徒へのアンケート結果
Q:「問題の場面設定が想像できる」と感じましたか?
小数点第2位を四捨五入しているため合計が100%にならない場合がある
テストを受験した生徒の声
次はTOEIC Testsを受験したい
左から順に、木村 颯之介さん(2年生)、大槻 泰雅さん(2年生)、齋藤 漢大さん(2年生)
※テスト受験時は1年生
英語の授業では、与えられたテーマについて、即興でスピーチを行う課題などがあり、思ったことを即座に英語で表現することの難しさを実感しています。一方、ペアワークの授業では、自分の英語が相手に伝わると嬉しくなり、英語を使って話すことが楽しいと思うようになりました。
また外部の試験にも興味があり、TOEIC Tests は知っていたのですが、ビジネス英語が中心で大人が受けるものという認識でした。しかし今回、高校生でも受験できるTOEIC Bridge Tests の存在を知り、是非、挑戦してみたいと思い受験しました。
結果は、リーディングのスコアが思ったよりもよかったのですが、スピーキングについては芳しくありませんでした。このことについては普段から自覚があり、客観的な試験でそれが示されたことで、改めて、日常の英語学習の中で、スピーキングやライティングといったアウトプットに割く時間を増やさなければならないと思いました。さらに、語彙力のなさも通感するなど、普段気づかなかった自分の弱みを知ることができました。
また、これまで日常生活の中で英語を使った経験がなく、その情景を思い浮かべることができなかったのですが、TOEIC Bridge Tests の問題には、リアリティのある様々なシーンが設定されていたため、実際のシチュエーションをイメージすることができました。英語を学んでいく上で、使うシーンを知ることはとても重要だと実感しています。
これからはどこで働いても英語が必要な時代になると思います。自分の可能性を広げるためにも、もっと英語力をつけていきたいと思っていますし、次は、TOEIC Tests にも挑戦したいと考えています。
(2024年4月取材)