英語力の伸長の確認や授業内容の振り返りに役立つ
群馬県立前橋西高等学校
WEBサイトTOEIC Bridge® L&Rを実施してみて
- 英語学習に対して前向きな生徒が増えた
- 将来的な経験値として有効
- 英語力の伸長の確認や、授業内容の振り返りに役立つ
第二外国語も選択できる国際科
本校には、普通科(理系・文系)と国際科があり、1年次は全クラス共通のカリキュラムで学び、2年次から生徒の希望による選択制で、普通科と国際科に分かれる形式をとっています。
国際科では、専門科目として英語を重点的に学び、また他国の異なる文化への理解を深める機会を通して、国際社会で活躍できる人材の育成を目指しています。第二外国語として中国語、韓国語、スペイン語、フランス語を選択できるのも国際科の大きな特徴で、群馬県下から語学に興味のある生徒や外国籍の生徒、帰国子女など多様な生徒が集まっています。
授業は習熟度別の少人数制をとっており、特に上位クラスは熱心で語学力の高い生徒も多く在籍しています。
10分間の帯活動を有効に活用
国際科の英語の授業で力を入れているのが帯活動です。授業冒頭の10分間を使って、リスニングや速読の教材を導入して学習したり、単語テストやスモールトーク、あるいはペアワークなどを行なったりして、4技能をまんべんなく習得できるよう工夫しています。1コマの授業時間をモジュール化し、時にはゲーム感覚も取り入れながら様々な学習内容を組み合わせることで、生徒は集中力を切らすことなく授業に向かうことができます。
その他にも、音声データを各自のタブレット端末に配信し、代表生徒がそれを声に出してグループでディクテーションをしたり、プレゼンテーションの課題では、生徒自身がテーマを考え、スライドを作って発表したりするなど、一方的な座学の講義ではなく、生徒自身が主体的に動くような活動を多くすることで、常に生徒の頭の中をアクティブな状態にしたいと考えています。
夏休みには、共通課題として暗唱やスピーチの原稿を作り、夏休み明けにクラス内でコンテストを行い、クラスの代表を決め、さらに学年代表、学校代表を選出して、前橋市のスピーチコンテストに参加しています。
多様な異文化に触れ世界を広げる
異文化交流については、2年次にオーストラリアの高校生と、オンラインによる交流を年4、5回行っています。2023年度はオンラインでの自己紹介に始まり、夏休み中は手紙のやり取りをし、最後には一人一人が自己PR動画を作成して、お互いに感想を言い合うという取り組みをしました。その他にも、県内のALT(外国語指導助手)等が本校に集まり、いろいろな国の文化や習慣を楽しく学ぶインターナショナルデーの開催や、フィリピンの小学校との交流、希望者を対象にした海外研修など、異文化に触れる様々な活動を行っています。
特に今の2、3年生はコロナ禍で制限の多い高校生活を過ごした世代なので、せめて残りの在学期間中は高校でなければ経験できないようなことにチャレンジして、自分の世界を広げてもらいたいとの思いもあり、できる限り生徒が主体となれる環境づくりを心掛けています。
TOEIC Bridge® L&Rを2回にわたって実施
このように国際科として実践的な活動をいろいろと試みていることから、その成果を客観的な指標で評価してみたいと考え、今回、TOEIC Bridge L&Rを実施しました。
実施方法として、12月にプレテスト、3月にポストテストという形で2回行い、その間の授業の取り組みとスコアの相関関係を見ることにしました。ただ、2回目の試験までの期間が短すぎたことと、この時期には大学入試や学年末考査などもあり、計画したように授業が進められなかったことにより、2回行ったテストのスコアに、大きな変化は見受けられませんでした。
しかし、TOEIC Bridge L&R自体は、英語の実力を測る優れたツールだと思っていますので、半年または1年ごとに継続して受けることができれば、生徒の英語力の伸長の確認や、授業内容の振り返りに非常に役に立つと思っています。
実際に、大学では英語のクラス分けなどでTOEIC Bridge L&Rを採用しているところもありますので、高校のうちに一度でも受けておくことは経験値として大事だと感じました。
英語学習に対して見られた前向きな変化
テストの結果を生徒にフィードバックする際には、スコアが良い、悪いではなく、自分の弱点や間違ったところを振り返り、日々の勉強につなげることが大事だと話しました。TOEIC Bridge L&Rが1つのきっかけとなり、最近は生徒の意識にも変化が出てきていて、新年度の二者面談をしていく中で、もっと英語の成績を上げたいとか、専門学校志望だったが四年制大学に変えたいとか、英語を将来の仕事に結びつけたいといったことを言う生徒が出てきており、嬉しく感じています。
受験した生徒へのアンケート結果
テストを受験した生徒の声
実際に自分がリアルな場にいるような感覚でリスニングができた
左から入内島 未尋さん(3年生)、ロサス・カレルさん(3年生)
※テスト受験時は2年生
TOEIC Bridge L&Rを初めて受験し、あまり難しいと感じませんでしたが、リスニングでメモが取れないことに戸惑いました。メモが取れないと、自分が今、本当に会話している場面にいるようなつもりで集中して聞かないと解答できないので、すごく緊張感がありました。そこが他のテストと違うと感じたところです。今までリスニングはとにかくメモを取るのが大事だと思っていましたが、考えてみたら、「実際の英会話ではメモなどしない」と気づいて、それからは他のリスニングテストでもメモは取らないようにしています。
それから、TOEIC Bridge L&Rは結果が一覧表のレポートで返ってくるため、順位や自分が苦手なところが分かります。受けて終わりではなく、その後の勉強につながるモチベーションになっています。
国際科には語学に興味がある人がたくさんいて、お互いが刺激になりとてもいい環境です。最近はまわりの友達との間で「英語オンリーチャレンジ」が流行っていて、休み時間などに勝手に「今から英語だけね」と言って、その時間は英語で話しています。
中学校では先生の板書をただ書き写す授業が多かったのですが、高校に入って自分で考えたり、話し合ったり、発表したりする場が多く、語学力が上がった気がしますし、自分に自信がついてきました。それから、私たちは第二外国語でスペイン語を選択しているのですが、講師の先生は日本語が得意ではありません。分からないことがあると英語で聞かないといけないので、スペイン語の時間も英語の勉強になっている感じです。
語学の勉強は楽しいので、もっと英語を話せるようになり、将来は英語を使って人の役に立つ仕事をしたいと思っています。
(2024年4月取材)