ぶれないモノサシとして、授業や国際交流活動の成果測定に活用

神戸弘陵学園高等学校

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学習プログラムによる生徒の伸長を継続的に測り、今後の英語の教育方針に反映させる
英語科教諭 山﨑 里美氏

TOEIC Bridge® Testsを実施してみて

  • 実践的な学習プログラムの成果がスコアに表れた
  • 今後の教育方針を考えるための気づきを得られた
  • 生徒が自分の強み・弱みを知ることができる

国際社会で「使える英語」を身につける

本校の進学コースでは、2023年度の新入生から英語のカリキュラムを一新し、国際交流に重点を置いた「使える英語」の習得を目指した学習指導を行っています。

グローバル化が進む国際社会の中で、英語の重要性は今後一層増していきます。そこで必要とされるのは丸暗記した知識ではなく、世界の人たちと自由闊達に交流して、相手を理解し、自分の思いを臆することなく伝えられるコミュニケーションツールとしての英語力です。将来、社会に出て困らないよう、早いうちから世界を身近に感じる環境で英語を学ぶことが肝要であるという考えの下、生徒が主体的に英語に取り組めるような学習プログラムの構築を進めています。

オーストラリア姉妹校との生きた国際交流

進学コースにおける英語学習の基軸の1つが、オーストラリア姉妹校との交流プログラムです。1年次は毎月1回、オンラインにて姉妹校と共同授業を行います。双方の生徒が一対一で対話する形式をとっており、それまでの準備期間に何を言いたいか、何を聞きたいかを生徒が自ら考え、英語で表現してみるという練習を重ねて授業に臨みます。姉妹校というメリットを生かし、相手校のクラスの中にバディを作って、日常生活や趣味などについて情報交換しながら親交を深めることで、異文化への興味を引き出し、「もっと英語が話せるようになりたい」という自発的なモチベーションを醸成しています。

2年次の夏には希望者がオーストラリアを訪問し、姉妹校の正規の授業に参加します。オンライン交流でお互いをよく知っている状態からスタートできるため、スムーズに現地に溶け込み、より充実した留学生活を送ることができると期待しています。

さらに3年次には、交流プログラムの集大成として、姉妹校からの留学生を本校に迎え入れます。生徒たちはそこでリアルな対面でのコミュニケーションを体験し、海外とのつながりを実感するとともに、自身の英語力を確認することができます。

また、普段の学校生活でもできる限り生の英語と触れる機会が多くなるよう、進学コースでは英語の全授業にALT(外国語指導助手)をアサインしています。

初の「All English 授業」を導入

もう1つの大きなポイントが、「All English 授業」の導入です。本校では初の試みであり、2023年度は11月からの準備期間を経て、1月より、進学コース1年生の英語の授業をAll Englishに切り替えました。通常の授業と内容は変わらないまま、全ての説明が英語のみになるので、生徒たちがついてこられるか心配しましたが、彼らは姉妹校との交流などを通して英語を「聞く」「話す」力をつけてきており、大きな混乱もなく移行することができました。

All Englishの授業では、知らない単語や表現なども出てきますが、生徒たちは集中を途切らせることなく、前後の文脈から意味を推測し理解しようとしています。これは「使える英語」を身につける上で、非常に有効な訓練になります。また、分からない点は生徒同士で一緒に考え、間違いを恐れずに発言するなど、楽しみながら積極的に授業に参加する様子が見受けられます。

新カリキュラムの有効性を検証

新カリキュラムで学んだ進学コースの1年生は、自ら英語を学ぼうという意識が強く、実際にこの1年間で英語力が大幅に伸びたと担当教員は感じています。ただ感覚だけで言っても説得力がないので、それを客観的に検証するため、今回、進学コースの全学年でTOEIC Bridge Testsを実施しました。新しい指導内容によって生徒の英語力にどのような違いが出るかを比較・分析するのが1つの狙いでした。

TOEIC Bridge Testsは評価基準がしっかりしていて信頼性が高く、4技能全てをカバーしている点が大きな魅力でした。テストの結果を見ると、予想どおり1年生は4技能とも全体的にスコアが高く、特にスピーキングは2・3年生よりも高スコアをマークしていました。海外とのオンライン交流やAll English授業など、コミュニケーションを中心とした実践的な学習プログラムの成果がスコアに表れ、新しい指導内容によって英語の4技能全てが向上することを実感できたのは大きな成果でした。

TOEIC Bridge Testsで英語の実力が可視化されたことによって、他の教員にその成果が伝わり、知識を一方的に教えるだけでなく、英語を運用する力を伸ばしてあげることが重要だという認識を共有することができました。

継続的な受験が有効なTOEIC Bridge® Tests

TOEIC Bridge Testsは、高校生にとって身近な日常生活をテーマにした設問が多く、実用的な表現が使われているため、受験するだけでもいい勉強になると思います。4技能に対してそれぞれの生徒の得手、不得手がそのままスコアに出るので、今回の結果をしっかり見て自分の弱点を知り、そこを重点的に学習するようにと指導しています。

2024年9月より、進学コースではTOEIC Bridge Testsを継続的に導入する予定です。継続受験することで、生徒は英語学習の成果を自分自身で確認することができます。一方、学校側としては、今の1年生が2年生、3年生になったときにどのように成長していくのかを測定し、今後の英語の指導方針に生かしていきたいと考えています。また、TOEIC Bridge Testsはぶれないモノサシとして、スピーキングやライティングなど、定期試験ではなかなか測りにくい技能を評価できるため、将来的に他コースでの導入や、成績の一部として活用する可能性も考えていきたいと思っています。

テストを受験した生徒の声

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試験で声を出すのが新鮮な体験だった

左から順に、藤原 拓未さん(2年生)、大森 雫さん(2年生)

※テスト受験時は1年生

英語は元々好きでしたが、高校に入って姉妹校(オーストラリア)の同世代の生徒との交流や、「All English授業」を通して生きた英語に触れる機会が増え、英語の学習がますます楽しくなりました。できれば大学でも学び続けて、将来は英語を使う仕事に就けたらいいなと考えています。

TOEIC Bridge Testsの受験は今回初めてだったのですが、4技能に分かれていて、それぞれいろいろなタイプの問題があるので、内容が盛りだくさんに感じました。

なかでも、スピーキングテストで試験中に声を出すというのが新鮮で、少し戸惑いましたが、いつも英語の授業のときに「間違ってもいいからアウトプットすることが大事」だと教わっているので、とにかく頭に浮かんだことを話すようにしました。

またライティングは、タイピングにあまり慣れていないこともあって、時間内に言いたいことをうまく文章にできず苦戦しました。

今回のテストで自分の弱点が分かり、対策をすればもう少しうまくできるような気がしていますので、次のTOEICBridge Testsを楽しみにしています。

(2024年4月取材)

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