加点で評価する方式が生徒にとって大きな自信へとつながる

桜美林中学校・高等学校

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今後、評価基準の1つの在り方となる
加点方式で行う英語力のスコア化
英語科教諭 両角 剛氏

TOEIC Bridge® Testsを実施してみて

  • スピーキングの評価が加点方式で行われている
  • テスト内で多様な英語が使われていることが分かった
  • スコアが生徒の励みになった

多様な文化や価値観に触れる機会を数多く設ける

中高一貫校(併設型)の本校は、「キリスト教精神に基づく国際人の育成」という建学の精神を、創立から100年以上経た今日でも大切に継承しています。中でも国際理解教育は本校の大きな柱であり、中学3年生が全員参加するオーストラリア研修旅行をはじめ、長・中・短期留学や国際交流を通じて、海外の多様な文化や価値観に触れ、グローバルな視点を身につける数多くの機会を設けています。

英語教育のプログラムについては、大学進学のための学習はもちろん、社会に出た後も使える英語力を養うことをテーマに、中学2年生、3年生は習熟度別クラス、高校1年生からは国公立コース、特進コース、進学コースという3つのコースに分かれ、それぞれのレベルに合わせた授業を展開しています。また、全学年を対象に、学年の中でも特に英語の能力が高い生徒を十数名選抜したハイクラスを設け、ネイティブスピーカーの教員による特別補修授業を実施しています。

ネイティブスピーカーの教員が指導できる環境を整備

中学校は英語のコマ数が他の教科より多くなっており、ネイティブスピーカーの教員を含む英語科全体で、充実した授業になるよう常に話し合いと工夫を重ねています。

1年生と2年生は週に2回、3年生は週に1回、ネイティブスピーカーの教員が授業を実施。2024年度からは、よりきめ細かく指導ができるよう、2年生の1クラスを2分割して、ネイティブスピーカーの教員一名が、20人程度の生徒と向き合い授業を行うことができる環境を整えています。

習熟度が上のクラスでは、英語の理解力と表現力の習得に努めており、2年生のリーディングの際には、チームで1つの長文を読み、それを読んで感じたこと、考えたことを英語で話し合うという時間を2022年度から取り入れました。一文一文を訳すのではなく、大枠で文章の内容をつかみ、間違いを恐れず身振り手振りを交えてでも自分の考えを人に伝え、相手の話を聞くという演習は、実際に英語を使う場面でも非常に役立つスキルになると考えています。

懸念があったコミュニケーション力の測定

ネイティブスピーカーの教員による授業や国際交流プログラムなどで、生の英語に触れる機会が多いため、本校の生徒はある程度、英語によるコミュニケーション力を身につけていると思っています。そこは生徒たちにも是非自信を持ってもらいたいところなのですが、一方で、その力を学校の試験で正確に評価し、生徒に対し十分にフィードバックすることができていないのではないかという懸念がありました。

中学校のスピーキングテストは学期末などで行い、ネイティブスピーカーの教員が2、3分ほど、生徒一人ひとりと英語で会話してそれを点数化していますが、一対一という緊張感の中であっという間に終わってしまうため、なかなか実力を発揮できない生徒もいます。また、英語は総合評価なので、どうしても定期試験のリーディングや文法、ライティングの点数が中心となり、スピーキングの点数の比率が低くなってしまっているというのが現実だったのです。

こうした背景があり、生徒たちの4技能の本当の実力を把握し、それを学習指導にも生かしていきたいという思いがあり、今回、TOEIC Bridge Testsを実施することにしました。

多様な英語が使われているTOEIC Bridge® Tests

今回は、中学2年生のハイクラスと中学3年生4クラス、高校1年生3クラスに対してTOEIC Bridge Testsを実施しました(2023年度)。試験中の様子を見ていると、TOEIC Bridge Testsのスピーキングテストは画面に向かって発話する形式で、前述の学期末テストで行われるマンツーマンのような緊張感もなく、生徒たちは「自分の英語をできるだけ話そう」という前向きな姿勢で、集中して取り組めているようでした。いずれは大学入試をはじめ、様々な試験においてデジタル化されていく可能性があることを考えると、今のうちからこうしたインターフェースに慣れておくことも大事だと感じました。

もう1つ気づいたのは、TOEIC Bridge Testsの問題に、アメリカ英語やイギリス英語など多様な英語が使われていたことです。普通、テキストや試験などはきれいなアメリカ英語を軸に作られることが多いと思います。しかし実際には、世界に出ていけば多様な英語がありますので、TOEIC Bridge Testsの体験を通して、そうした英語の多様性について生徒に教える機会を持つことができました。

テストは生徒の励みになることが重要

今回、特に注目していたのはスピーキングの評価です。学校のスピーキングテストは、限られた時間で全生徒を公平に評価するために、文法や単語の間違いを減点していく方式を取らざるを得ません。一方、TOEIC Bridge Testsのスピーキングテストは、ネイティブスピーカーの方が採点し、言いたいことが伝わるかどうかを加点方式で評価している点が大きく異なります。

戻ってきたスコアを見ると、習熟度別の下位クラスの生徒の中に、スピーキングのスコアがライティングを上回っているケースがいくつか見受けられました。英語が苦手と感じている生徒にとって、「自分の英語が相手に伝わる」ことがスコアで確認できるのは、とても大きな自信につながると思います。学習指導要領の観点別評価にも「表現」という項目ができましたが、一所懸命に伝えようとする生徒の姿勢をきちんとスコア化するTOEIC Bridge Testsのスピーキングテストは、これからの英語の評価基準の1つの在り方を示してくれているように感じました。

また、上位クラスの英語に熱心な生徒たちは、テストの結果を見て、「スピーキングはあと何点取れば満点だった」「私はここのスコアが悪かった」などと話していました。級などの資格テストの場合は、合格か不合格しかないため、到達度という意味では細かく測り知ることができません。TOEIC Bridge Testsは4技能それぞれについて50点(最高点)中何点というスコアが出るので、より具体的に自分の弱点に気づきやすくなっています。漫然と上を目指すのではなく、何を勉強すべきか具体的に分かるため、生徒にとっていいモチベーションになっていると思います。

テストや成績というのはもちろん公平公正でなければなりませんが、それだけでなく、そのテストが生徒の励みになり、次は頑張ろうと思えることが何よりも大事ではないでしょうか。その意味で、「ここを頑張れば最高点まであと少しだよ」というTOEIC Bridge Testsのスコア表示の仕方は、とても魅力的だと感じました。

受験した生徒へのアンケート結果

Q:受験して、英語学習のモチベーションにどのような変化がありましたか?(複数回答)中学3年生

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(2024年4月取材)

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