将来、活躍するために必要な、相手に伝わる実践的な英語力を養う

浜松日体中・高等学校

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相手に伝わることを重視した評価基準が
英語学習へのモチベーションを高める
英語科教諭 内山 由樹氏

TOEIC Bridge® Testsを実施してみて

  • 英語学習に対する生徒のモチベーションが向上
  • 自分たちの英語が伝わることを生徒が実感できた
  • TOEIC Testsの出題形式に慣れるための貴重な経験になった

アウトプットを中心とした授業を実施

本校は中高一貫校ではありますが、高校から入学してくる生徒の方が多く在籍しています。高校では、中学からそのまま進学した内進生と、高校から入学した外進生とでクラスを分けています。そして、2年次からは「文系」「理系」に分かれ、大学受験に向かって、それぞれの学習を進めます。

週に7~8時間(1コマ50分)行う英語の授業では、いずれのクラスもスピーキングやライティングといった、アウトプットする力を身につけていくことに重きを置き、単語や文法に関しては、各単元の要点を授業で扱うこともありますが、基本的には生徒たちが自分で学習することを1年次より目標としています。

英語を使う実践的な機会を設ける

通常の授業では3観点の評価を意識し、スピーキングに適した教科書を用いながら、例えば、自分が行ってみたい場所や憧れの人をテーマに設定して、各自がショートスピーチやグループでのプレゼンテーションに取り組み、アウトプットする英語力を身につけていきます。

1年次の締めくくりとして、年度末には1人でプレゼンテーションを披露する機会もあり、生徒は自分のタブレット端末で英語のスライドを作成し、それぞれが工夫を凝らし取り組んでいきます。聞いている生徒は採点し、その点数も評価に加えます。

また、2年次では、1年次から年9回実施しているオンライン英会話レッスンのまとめ学習として、実際に留学生を各クラスに6人程度招き、生徒5人のグループに1人の留学生が加わり、彼らが生徒たちのメンターとなって、英語だけで1日過ごすという初の取り組みを行いました(初回2023年3月)。この1日だけですぐに英語が話せるようになるわけではありませんが、実際に英語を使う貴重な体験となり、今後は学校行事として、全学年で取り組んでいければと思っています。

その他、夏休み中に本校で実施するイングリッシュキャンプや、2年生を対象としたイギリスへの語学研修など、オンライン英会話だけでなく、対面で英語を使う機会を設けるなど、様々なアプローチによって、英語で自分の意思を伝える実践的な機会を設けています。

客観的で公正なアウトプットの評価を期待

授業を通じて身につけた生徒たちの英語力を測定するために、自学自習している英単語や文法については、定期的に実施する小テストや定期テストの点数などで評価しています。

スピーキングに関しては、教科書の1つのパートが終了したタイミングで、そこから抜粋した文章を各自のタブレット端末に一斉送信し、その文章を生徒が同時に読み上げて、タブレット端末に録音するといった小テストを実施。

ライティングについては、教科書で扱った内容に関連するようなシーンを設定し、例えば「自分が留学するとしたら、どの国に何の目的で行くのか」といったお題を提示して、それに対する自分の考えなどを英語で書くといった小テストを行い評価しています。

事前に評価する項目や基準などを教員同士で決め、共通認識を持った上で臨んでおり、一定の正しい評価はできていると感じています。ただ、教員やクラスの実情が変わればどうしても多少のぶれが生じてしまいます。また、英語でのプレゼンテーションのレベルは高いが、文法が苦手という生徒もいれば、その逆の生徒もいます。英語4技能それぞれの測定をきちんと行い、それを客観的な評価として出すことは非常に難しいと感じています。

そこで今回、生徒たちの英語4技能を客観的にそして公正に評価してみたいと考え、TOEIC Bridge Testsを実施することにしました。一方で、本校が目指す受験指導とTOEIC BridgeTestsの評価基準が異なるのではないかという懸念があったことも事実です。

テスト受験後、生徒のモチベーションが高まる

授業では、文法の正しさも大切ですが、相手に伝わるかどうかを重視した評価を行っており、例えば、文法上のささいなミスについてはそこまで細かくチェックしませんが、聞き手や読み手が理解できないような内容については減点対象にしています。「伝わる英語か否か」という評価基準は、TOEIC Bridge Testsも同様であることが今回の実施で分かり、それがスコアとして反映され、自分たちが日頃身につけた英語が伝わったという喜びを、生徒たちが感じてくれたのではないでしょうか。

問題のレベルについては、本校の生徒たちにとって「簡単すぎず、難しすぎず」といった感じで、頑張れば解答できる難易度であったため、力試しとしては適切だったと思っています。設問に身近なシーンが設定されていることも、生徒たちにとって取り組みやすい要因だったのではないでしょうか。

生徒たちに対して行ったアンケート結果から、生徒たちの多くが自信をもって英語に向き合えていることが分かり、大きな発見を得ました。また、今回の受験がきっかけで、英語学習へのモチベーションが高まったことも知ることができました。今後もTOEIC Bridge Testsに挑戦することが、より意欲的な英語学習につながるのではないかと思っています。

一方で新たな課題も見つかりました。今回受験した1年生(2023年度)は、リスニングテストのスコアが他の3技能と比較すると低く、生徒たちも力不足を感じたようです。現在、2年生から本格的にリスニングの教材を授業に取り入れていますが、今後は1年生からチャレンジしてみることも検討していきたいと考えています。

将来の英語学習につながる貴重な経験

日頃から生徒たちには、社会で活躍していく中で、英語は既に必要不可欠なものであると伝えています。英語が話せることで選択肢が広がることはもちろん、逆に話せないことによって自分のやりたいことができないということがあるかもしれません。

将来的に必要な英語力を身につけていく過程において、TOEIC Testsを受ける機会が出てくると思っていますので、TOEIC Bridge Testsを高校生のうちに受験しておくことで、その出題形式に慣れるという点においても、貴重な経験になったと感じています。

テストを受験した生徒の声

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自分の英語が伝わることを実感し、自信が持てた

左から順に、髙氏 あいさん(2年生)、山田 健人さん(2年生)

※テスト受験時は1年生

スピーキングテストはあまり自信がなかったのですが、これまで受験した外部試験とは異なり、TOEIC Bridge Testsでは文法などが多少間違っていてもスコアが悪くなかったので、「自分の英語が伝わった」という実感が持て、自信がつきました。

一方で、力不足を感じたのが語彙力です。英語のリスニングやリーディングでは、分からない単語が出てきても、ある程度は前後の意味で推測することが可能ですが、ライティングではそのようにできないことがあります。これからは、語彙力を強化する学習を行っていきたいと考えています。

また、TOEIC Bridge Testsは、試験範囲が決められた学校の定期考査とは異なり、4技能それぞれにおいて、本当の実力を測ることができると感じました。特に、スピーキングを客観的なスコアとして測定する機会は少ないので、今後も継続受験していくことで、スピーキング力を伸ばしていきたいと思っています。

(2024年4月取材)

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