3万名超の転職者支援経験を持つ森本千賀子さんが語る「英語を活かしたキャリア作りの成功方程式」とは
公開日:2024年04月12日
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キャリアアドバイザーとして3万名を超える転職希望者を支援し、また経営層に寄り添いながら採用者目線でも企業の採用面からの課題解決支援を数多く経験されてきた、株式会社morich代表の森本千賀子さん。今回は、そんなキャリアアドバイスのプロフェッショナルである森本さんに、英語を活かしたキャリア作りやビジネスで求められる能力、企業が採用時に注視するスキルについてお話を伺いました。
変化する人材ニーズ
時代や市場の動向とともに、企業から求められる人材の要件も変化しています。2024年現在どのような人材が求められ、また活躍しているのかお話をお伺いしていきましょう。
なぜ今、語学力が求められているのでしょうか?
グローバリゼーションが進み、国ごとの境界がなくなってきたことや、コロナ禍の影響によりZOOMなどオンラインツールが充実したことで、海外と日本の距離は更に近くなりました。また労働人口の減少により、これから日本で働く海外の方の割合はますます増加していくと考えられます。企業側でも、飽和した日本市場だけでなく、海外進出に力を入れていく企業が増えていくことでしょう。
世界各国様々な言語が日常的に話されていますが、「ビジネス」という領域で考えるのであれば、まず習得すべきは圧倒的に「英語」だと感じています。海外の富裕層家庭の中には、母国語ではなく、自身の子供たちを英語で育てるといった方もいらっしゃるようです。それほど、英語はビジネスの世界で当たり前に使用され、ビジネス界の公用語として普及している言語と言えます。
英語力を備えておくことは、海外市場を視野にいれて活躍するための必須条件と言えるでしょう。
20年前と2024年現在で人材ニーズはどのように変化してきたのでしょうか
20年ほど前までは、1つの専門性を極める「I型キャリア*1」人材でも活躍することができました。そこから時代や市場、ビジネスモデルの変化に伴い、複数の専門性を保有する「T型*2」や「π(パイ)型*3」、「H型*4」といった人材のニーズが高まり、より広い専門領域やスキルが求められる時代へと変化してきています。
英語を活かしたキャリアを構築されている方や、これから目指される方の具体的なイメージを挙げるのであれば、I型では「英語の先生」や「通訳」。T型では英語力とITスキルを掛け合わせて「オンライン英会話講師」や「海外スタートアップで活躍するエンジニア」といったイメージです。
IT化や少子高齢化が進み労働人口も減少している現在の日本では、より広い領域でその知識と経験を活かし能力を発揮できる人材が求められているといえます。
そして、こういった複数の専門領域の土台にあたる「ポータブルスキル」の重要性が、今後のキャリア構築の中で非常に重要なパートになってくると考えています。
- *1:I型人材とは、1つのジャンルに精通している人材
- *2:T型人材とは、1つの専門スキルを軸に、専門外にも広い知見を持つ人材
- *3:π型人材とは、2つの専門スキルを軸に、専門外にも広い知見を持つ人材
- *4:H型人材とは、専門家同士の横のつながりを築く橋渡し的な連携力を持つ人材
キャリア形成成功の秘訣「ポータブルスキル」とは?
では、キャリア形成の土台となるポータブルスキルとは、どのようなものなのか具体的にお話をお伺いしていきましょう。
ポータブルスキルとは?
ポータブルスキルとは、その名の通り「業種や職種が変わっても持ち運びができるスキル」のことです。つまり、「人間力」「EQ」に近いものだと捉えてください。
例えば、コミュニケーション能力や提案力などビジネスを行うにあたって、どの会社でも、どのフェーズでも活かすことができる能力は分かりやすいですね。その他にも、変化する環境への適応力や状況把握能力、改善PDCAを回すことができる能力もそうです。そして語学力もこのグループに属すると考えています。
ポータブルスキルとしての語学力とは?
一般的に語学力というと文法や単語力など机上の学力も含めた語学力を指すことが多いかと思います。ポータブルスキルとしての語学は、単に英訳、和訳ができることの範疇を超えて、交渉力や提案力なども含めた言葉の能力となりますので、英語であれば英語を使用して相手と交渉し、プロジェクトや議論をまとめて進めていくというところまで求められる事になります。
キャリア形成に必要な英語力と得られるビジネスチャンス
では、実際にどのくらいの英語力を目標とすれば、ビジネスの現場で円滑なコミュニケーションを図ることができるのでしょうか?また英語力を伸ばすことで、どのようなチャンスが得られるのでしょうか。
キャリアアップに求められるTOEIC L&Rスコアの目安は?
1つの指標として点数を提示するのであればTOEIC L&Rスコアで750点程度だと思います。
20年ほど前まではTOEIC L&Rスコアが700点以上あれば就職に有利とされていました。しかし、最近は700点以上のTOEIC L&Rスコアを保有する求職者の方は珍しくありません。一定以上の英語力の見極めとして、750点を指標としている企業も多いことから、まずは750点を目指していただくとよいと思います。
TOEIC Tests受験のおすすめタイミングは?
転属や転職などキャリアの選択に備えて、TOEIC Testsを受験し自分の英語力をスコアで可視化しておくことが大事ではないでしょうか。
40〜50年のキャリアの中で、最近は平均3回程度転職をすることが一般的になってきています。直近で予定がない方でも少なくとも5年に1回程度の間隔でご自身の英語力をアップデートし、英語力の維持ないしは向上を目指すというのがおすすめです。
英語力によるキャリアチャンスの違いは?
英語力を伸ばすことで得られるメリットで最もわかりやすいものは給与面の待遇でしょう。
海外で活躍するポストや英語を使う仕事は、外資系・内資系企業を問わず、英語力がある優秀な人材の採用競争に負けないために、水準の高い年収を提示する企業が多くなってきています。「職能給」という、能力に応じた給与体系を採用している企業も多く、自ずと年収レンジも高くなる傾向にあります。人気のポストになりますので、その狭き門をくぐり抜けるためにも高い英語力は必須です。
そして、メリットの2つ目は、昇進です。昇格試験の条件の1つとしてTOEIC Testsスコアの規定を設ける企業も多く、例えばマネジメントレイヤー職の条件に、TOEIC L&Rスコア800点以上といった規定を定めている企業も多い印象です。
このように給与面の待遇や、昇進の条件として多くの企業でTOEIC Testsが取り入れられているだけでなく、企業全体で英語を公用語にする大手企業も出てきているなど、英語力のある人材ニーズは日本市場全体として高まってきていると感じています。
語学とともに備えたいスキルや能力
前半では英語力を主軸にお話を展開してきましたが、キャリアを成功へ導くには、語学力に加え他のスキルも身につけていかなければなりません。転職アドバイスのプロである森本さんがおすすめするスキルとは何なのか、お伺いしていきましょう。
これからの国内ビジネスはどうなる?
これからはVUCAの時代といわれています。Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字から造られた言葉ですが、未来を予測しにくい時代に突入しています。そのため、予測不能なさまざまな変化に対応できる人材が重要視されてくるでしょう。
また企業は今までと同じようなことをしていては勝ち残れないため、新しいことにチャレンジしていかなくてはなりません。DX推進や新サービス事業などが挙げられますが、海外展開もその1つです。内需が低迷している国内情勢において、マーケットは海外へと視野を広げなくてはなりません。
海外展開で求められる人材とは?
ビジネスを海外に広げるためには語学力は必須ですが、母国語レベルに語学が堪能な人材を有していても、海外事業が上手くいかないことは往々にしてあります。
その理由は日本と海外での商慣行や文化の違いなどビジネス背景のギャップです。語学が堪能であったとしても日本流でビジネスを推進していてはビジネスを成功させることはできません。その国に適した方法で成長させる、そんな適応力が求められるのです。
ご自身の専門性の軸を複数持つπ型やH型などのようなキャリア形成を意識した上で、複数の経験を積むこと(*非連続キャリア)や、ご自身の中でのポータブルスキルの強みを意識し伸ばしていく事が非常に大切だと考えています。
非連続なキャリアとは?
非連続なキャリアとは、「越境キャリア」ともいわれていますが、例えば異業種・異職種へ転職することもその1つです。業界を超えた転職や他部署への異動、新プロジェクトへの参加、海外経験などがそれに当てはまります。
実際にエグゼクティブ層などでご活躍されている方には、この非連続なキャリアの経験から多くを学び、身につけ、成長された方がたくさんいらっしゃいました。皆さんこれまでと違う環境や前提に、最初は戸惑い苦労をされます。でもその苦労と変化を経験することが、後の成長へと繋がり、キャリアを成功へと導いていると感じています。
また1度変化を経験すると、それ以降は変化が怖くなくなったり、適応しやすくなったりするんですよね。つまり、非連続なキャリアを経験することで、変化に強くなるといえます。だからこそキャリア形成において、非連続なキャリアに果敢に挑戦してほしいと思います。
まとめ
英語力があることで、確実にご自身の市場価値は高まります。
- 自身の専門スキル領域(軸足)を広げること
- ポータブルスキルを伸ばす努力をする事
- 非連続キャリアを意識し、変化に強くなる事
と同時に、TOEIC Testsを活用した定期的な英語力の見直しとレベルアップを行いましょう。語学を味方に付け、そこから享受されるビジネスチャンスを掴みましょう!
プロフィール
株式会社morich代表
森本千賀子さん
1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒業後、1993年にリクルート人材センター(現:リクルート)に入社。転職エージェントとして2千名以上の転職を支援し、千名以上の経営者のコンサルティングに携わる。2017年3月株式会社morichを設立。現在は人材紹介業を中心に、組織や人事に関するサポートも行うオールラウンダーエージェントとしてエグゼクティブ層の支援を行う。その他、TVや雑誌など各メディアでの執筆活動、各地で講演やセミナーなど多岐にわたって活動。
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