ダンスと英語を通して、「日本と海外の架け橋」となる存在に
〜ダンサー、コレオグラファー　ReiNaさん

15歳で世界へ。ダンサーには英語力が必須だと実感

ReiNaさんは5歳からダンスを始めたそうですね。

ダンスを習っていた友達に誘われたのがきっかけです。いろいろなジャンルのダンスに触れる中で、今の自分のスタイルに通じるヒップホップとポッピン（ストリートダンスの一種）に出会い、ビビッときました。小学３年生から本格的に習い始めて、５年生からはダンスバトルにも出場するようになり、平日は放課後に3時間、夏休みは朝から夕方まで練習していました。ダンスがとにかく大好きで、小学校の卒業文集には「世界で活躍するダンサーになりたい」と書いていましたね。

そして、15歳の時に世界大会で優勝！　世界から注目を集めるようになりました。

優勝できたことはもちろん、ダンスバトルの動画配信を通して世界中の人に自分のダンスを見てもらえたことがすごくうれしかったです。そこから海外でのワークショップや著名アーティストのバックダンサーといったチャンスをいただけるようになり、高校時代は日本と海外を行き来する生活を送っていました。19歳の頃には、SNSに載せたダンス動画をきっかけにK-POPアーティストの振り付けを依頼され、その作品が反響を呼んだことから、振付師（コレオグラファー）としても活動するようになりました。

普段の活動では、どのような時に英語を使いますか

海外で行うアーティストへの振り付けやワークショップは、全て英語でコミュニケーションを取ります。振り付けを考える時には英語の歌詞を読み解いてイメージを膨らませますし、海外からのSNSのDM（ダイレクトメッセージ）や仕事のメールは英語でやりとりするので、読み書きのスキルも必要です。韓国やフランスなど、英語圏以外の国でもダンサーの共通言語は英語なので、世界とつながる手段として英語力は必須だと実感しています。

“伝わる英語”を目指し、発音と単語を反復練習 

もともと英語は得意でしたか？

1小学校高学年になるまで、毎晩寝る前に母が英語の絵本を読み聞かせしてくれたので、子どもの頃から英語が身近に感じられる環境でした。テレビも映画も絵本も英語のみで、英語で絵日記を書いたり、英会話クッキングをしたり、すごく楽しかったですね。おかげで小・中学校と英語は得意科目だったのですが、学校の授業だけではスピーキングスキルがなかなか伸びなくて……。海外に出て、自分の思っていることがなかなか出てこないという現実にショックを受けました。

今でも忘れられないのは、中学3年生の時に優勝した世界大会のアフタートークショーです。同年代の海外の子たちはみんな英語が流暢 なのに、私だけ伝えたいことがうまく伝えられなくて、もどかしさと悔しさでいっぱいでした。その経験をきっかけに、英語で日記をつけたり、単身でダンス＆語学留学に行ったりと、本格的に英語を学ぶようになったんです。

英語で伝えたいという思いが原動力になったのですね。

19歳で海外アーティストの振り付けをするようになってからは、「自分の言葉でダンスを教えたい」という気持ちがより強くなり、半年間ダンスなしの語学留学にも行きました。留学前には1冊の参考書を暗記するくらい読み込んで、ボイスメモで発音を繰り返しチェックしたり、オンライン英会話を時間が許す限り受講し、ネイティブの発音やスピード感に耳を慣らしたりと、入念に準備をしました。語学学校でもノートにびっしりと書き込み、習った文法や単語を覚えるようにしていましたね。世界中から集まる生徒たちの多様な価値観や英語なまりに戸惑うこともありましたが（笑）、すごくいい刺激になりました。

現在はどのような英語学習をしているのですか?

自分の英語力をもっとブラッシュアップさせていきたいので、毎朝英語学習の時間を確保し、隙間時間にはオンライン英会話や、大好きな映画を観ています。ダンスの仕事は英語で伝えることがメインなので、「聞く・読む・話す・書く」の４つのスキルの中でも、特にスピーキングに時間を割くようにしています。留学先で痛感したのは、発音と語彙力が大事だということ。特に日本人特有のカタカナ英語は通じにくいと実感したので、ネイティブの発音を意識してボイスメモで録音しながら繰り返し練習しています。

好きなことを織り交ぜて気分転換しながら、常に英語に触れる

英語学習におけるモチベーションは何ですか?

人と話すことが大好きなので、自分の英語が相手に伝わることが一番のモチベーションです。オンライン英会話で先生が褒めてくれたり、ボイスメモで録音した発音が思っているよりも流暢だったりするのもうれしいですね。自分で話している時は気付かないことが多いので、客観的な評価は成長に欠かせないなと感じています。

モチベーションを維持するコツはありますか。

モチベーションが下がりそうな時には、一度教材から離れて好きな洋画や洋書に切り替えたり、洋楽の歌詞を和訳してノートに書いてみたり、自分の好きなこと・楽しいことを織り交ぜるのがコツだと思います。小さい頃に母が読み聞かせしてくれた絵本も分かりやすくて勉強になっていますし、スピーキングに飽きたらライティングにシフトチェンジしてもいい。英語を学ぶ方法はたくさんあるので、うまく気分転換しながら常に英語に触れている状態をつくると、長く続けられると思います。

これまでの活動の中で、英語を学んで良かったと感じるエピソードを教えてください。

たくさんありますが、海外のワークショップで自分の英語に対するリアクションが良かったり、ダンス仲間に「make sense」と言ってもらえたりすると、すごくうれしいですね。「自分の思いがちゃんと伝わった」「対等な意見交換ができた」と感じられた時に、英語を学んで良かったなと感じます。通訳の方やスマホの翻訳機能を頼ることもできますが、コミュニケーションはテンポやニュアンスが大事なので、やっぱり自分の言葉で直接伝えたいです。

ダンスも英語も基礎あっての個性。結果よりもプロセスが大事！

ダンスと英語学習の共通点はありますか。

反復練習して体に覚え込ませていく点が似ているなと思います。ダンスは5歳の頃から毎日踊っているので、細胞が（音楽を）覚えていて、音が鳴ると体が自然と動くんです。英語も繰り返し声に出していると頭で考えなくてもすらっと（単語や文章が）出てきますし、逆に忙しくて英語学習があまりできていない期間が続くと、口がうまく回らなくてもどかしくなります。毎日5分でもいいから英語に触れ続けることが大事なんだなと感じます。

それに、ダンスも英語も、基礎があってこそオリジナリティーが出せるもの。基礎は地味だけれど、ここをおろそかにしてしまうと後々つまずくので、地道に積み重ねるしかないんです。でも、一つのことに集中して取り組む時間は必ず自分の成長につながるし、自己肯定感も自然と上がって自信が持てると思います。

ダンサーとしての今後の目標を教えてください。

ダンスと英語をコミュニケーションの手段として、「日本と海外の架け橋」になりたいと思っています。各国のダンスのトレンドや素晴らしいダンサーを紹介したり、ダンサー仲間をつないでフリースタイルセッションで踊ったりするのが大好きなんです。日本の繊細さや技術力、海外のエネルギーや多様性など、それぞれの良さをダンスを通して伝えていきたいと思っています。フリースタイルや振り付けという枠組みにとらわれず、ダンスの魅力を発信していくことが自分の使命かなと感じています。

英語学習における目標はありますか。

英語学習においても「自分はまだまだできる！」と思っているので、毎日コツコツ英語に触れてスキルアップしていきたいです。ダンスも英語も、結果よりプロセスが大事！頑張った分、必ず自分の糧になりますから。自分の英語力が数値化されるのは怖いですが（笑）、チャレンジすることは大好きなので、TOEIC Testsもぜひ受けてみたいです。

TOEIC Tests受験者や、英語学習をしている皆さんへメッセージをお願いします。

英語を学ぶと世界が広がるし、自己肯定感も上がるし、本当にいいことしかないです！　モチベーションが下がることがあるかもしれませんが、いろいろなやり方で試行錯誤しながら、とにかく諦めないで続けてほしいです。一人でも多くの方が英語を話せるようになったら、日本の見え方も変わってくると思うので、一緒に楽しみながらやっていきましょう！