英語を通していろいろな人と出会い、社会に貢献したい
〜株式会社マザーハウス 田村彩紀さん
公開日:2025年2月28日

バングラデシュをはじめとする途上国の素材や技術で世界的なブランドをつくるため、バッグや革小物などを日本各地や台湾・シンガポールで販売しているマザーハウス。生産国とのやりとりや物流を担当する田村彩紀さんは、学生時代から熱心に国際交流活動に取り組まれてきました。「英語でいろいろな人とつながりたい」と話す田村さんの、英語学習のこれまでとこれからを伺いました。
将来のために英語学習に励んだ学生時代
田村さんは学生時代から留学など国際交流活動に積極的に参加されていますが、海外に興味を持たれたきっかけは何ですか。
通っていた中学校がユニセフの募金活動をしていて、品川にあるユニセフハウスを訪問する機会がありました。施設の展示を通して途上国の現状を垣間見て、日本は恵まれているということを痛感したのが、今思えば最初のきっかけですね。
これまでカナダにある国際教育センターの語学セミナーに参加したり、メキシコ経済省駐日代表部でインターンをしたり、国際交流経験を重ねてきました。将来は国に関係なく、社会に貢献できる仕事に就きたいと思いましたが、そのためには英語が欠かせません。父がアメリカに赴任していたことや、留学経験がある友人が複数いたこともあって、漠然と「大学に入ったら海外に留学したい、英語の勉強を頑張りたい」と考えていました。
学生時代は、英語をどのように勉強されましたか。
英語は好きでしたが、高校まではあまり得意ではありませんでした。大学入学時に初めて受験したTOEIC L&Rのスコアは400点台でした。ただ、大学が英語に非常に力を入れていて、当時私が専攻していた国際地域学部(現・国際学部)では、都市開発や地政学などの授業を英語で受けることができました。英語のプログラムはとても充実していたと思います。
留学は大学2〜3年頃に行く予定で計画していましたが、実は、交換留学の学内選考試験に一度落ちてしまったんです。合格ラインに2点足りませんでした。次は絶対に合格したい! と決心し、選考試験の対策テキストを一からやり直しました。
授業の合間には図書館に行き、単語力を上げるため基礎の単語帳を見直し、あやふやな箇所は何度も繰り返して、英作文にも力を入れました。自分の弱いところに特化した勉強方法です。ニューヨーク・タイムズやBBC(英国放送協会)の英文の記事も、学習材料にしていました。とはいえアルバイトもサークル活動もしていましたから、英語漬けという学生生活でもなく、隙間の時間を使って勉強するスタイルでした。
そして次の年に学内選考試験に受かって、念願の留学をされたわけですね。留学先での生活はいかがでしたか。
留学先はアメリカのメリーランド州にある、学生数が1,000人ほどの小さな大学で、日本人は私だけ。そこで9カ月間を過ごしました。正直、最初の1〜2カ月は周りの人が何を話しているのか分かりませんでした。東海岸の人の英語はスピードが早いし、独特な発音もあって、「あれだけ勉強したのに……」と悔しく思いましたが、とにかく分からないことがあれば周囲に尋ねて確認しました。特にイギリス人の留学生には、何度もフィードバックをもらいました。
授業では大量に本を読む必要があったので、最初は苦労しましたが、パラグラフごとに訳して意味をつかむようにしたことで読解力は鍛えられたと思います。それから、現地の学生の話題についていくために、積極的に洋楽を聴いたり映画を観に行ったりもしました。コミュニケーションを図ろうと必死でしたね。
大学時代にはホンジュラス共和国にも留学されていますね。
もともと中米の開発学に興味があったのですが、大学には専門のクラスがなかったので、もっと深掘りしたいと考えていました。そこでアメリカ留学後いったん帰国し、卒論研究として3カ月間ホンジュラス共和国に滞在しました。公用語がスペイン語なのですが、大学で第二言語としてスペイン語の授業を選んでいたので、現地の人に一つ一つ尋ねながらスペイン語も身に付けていきました。
途上国の可能性を伝える商品を、心を込めて日本へ、世界へ
大学卒業後はメキシコ日系コンサルティング会社に就職し、2023年にマザーハウスに転職されています。
マザーハウスの「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念に共鳴し、転職を決めました。会社の方針でマザーハウスの新入社員は皆、最初はお店に立って販売を経験します。私も銀座店に5カ月間勤めました。ちょうどインバウンドのお客様が少しずつ増えてきた時期で、銀座店は来店客の3分の1から3分の2ほどを外国人観光客の方が占めていました。
お客様にバングラデシュ製のバッグであることをお伝えすると「日本製じゃないの?」とネガティブに捉えられることもありましたが、「商品を通して途上国の可能性を伝えています」とお話しすると、その趣旨をしっかりと理解していただけるんです。日本の滞在期間中にリピートで来店してくださる方や、家族や友人を連れてこられる方も多かったです。
台湾とシンガポールにも店舗があるのですが、取り扱っているアイテムが国によって異なるので、「このアイテムを買うために日本に来ました」と来店されるケースもありましたね。マザーハウスが国を越えてお客様がすてきだなと感じる商品を作っていること、世界の様々なお客様に出会えるブランドであることを実感しました。
店舗での販売経験を経て、現在はどのようなお仕事をされていますか。
海外経営管理とサプライチェーンマネジメント物流の2つを兼任しています。現在、マザーハウスの商品は海外6カ国で生産し、日本を含めて3つの国・地域で販売しています。海外経営管理は生産国の経理関係のやりとりや、契約内容をチェックする業務です。サプライチェーンマネジメントの仕事では、バングラデシュで生産した商品を、飛行機や船を使って日本に送り、各店舗に届けるまでの物流を担当しています。いろいろな立場の人の間に立ちながら英語を使う場面が多いですね。
飛行機が遅延したり、デモや洪水が起きたりと、予測不能なことがたくさんあるので、スケジュールは後ろ倒しできるように余裕を持たせておき、店舗には現地の状況を適切なタイミングで伝えるようにしています。英語を「使っている」という感覚があまりなく、自然にコミュニケーションできるのは、話すことに加えて読み書きについても満遍なく学んできたおかげかなと思います。
英語でのコミュニケーションで心がけられていることはありますか。
相手に伝わりやすい内容にすることです。たくさん質問をしても、戻ってくる回答は一つだけとか、最後の質問にしか答えてくれないということはよくあります。それは、送っている情報量が多すぎるからです。相手に尋ねたいことを整理して、できるだけシンプルに説明し質問も絞る。そして答えが返ってきたらまた別の質問をする、という流れにすることを心がけています。
TOEIC受験は長い英語学習の旅路の指標
学生時代からTOEIC L&Rを何度も受験されているとお聞きしました。
アメリカの留学前後に数回、TOEIC L&Rを受験しました。自分の英語力をフラットに測り、継続的に伸ばしていく上で、TOEICのテストはマイルストーンになると思います。直近では2024年12月に受けました。TOEIC公式の問題集のほか、大学の時に使っていたTOEIC関連の単語帳も買い直して使っています。
TOEIC L&Rでは、トラブルが発生した時や不良品を回収する場面、ミーティングに遅れる場合の連絡の仕方など、実際のビジネスに即したシチュエーションが多いですよね。ライティング、スピーキング、リスニング、リーディングの全てがリアルで、実用的な英語が充実していて、現在の仕事に大いに役立っています。
語学に100%はありません。今は日常的に英語を使えていますが、気合を入れてその先まで伸ばしていこうと考えています。テストの2時間の中でいかに戦略的に問題を解くかは、仕事だけではなく何かに取り組む時のベースにもなると思うのです。私にとってTOEIC L&Rは、なりたい未来を実現するツールでもありますね。
継続的な学習を続けられている田村さんから、英語を学習している方にアドバイスをお願いします
留学や仕事の経験から、英語を通していろいろな人とつながったり、社会に貢献したりすることが私の軸にあるのだなと気が付きました。この先の人生も、ずっと英語は欠かせないだろうと思っていますが、語学の学習は真っすぐな道のりではありません。ある程度のレベルに達すると、伸び悩む時期が訪れます。でもそこで休まずにやり続けることで、見えてくるものが必ずあると思います。私も踊り場に差しかかった時期がありましたが、必ず抜けられるはずだと思って学習を続けました。だから諦めずに続けてほしいです。
英語で話したいけれどなかなか踏み出せないという方は、思い切って英語で話す場面に飛び込んでみてはいかがでしょうか。留学したアメリカの大学では、授業中に一度は手を挙げて質問をしなければならなかったので、頑張ってチャレンジしました。今は英語圏の人と出会ったり話をしたりする機会はネットですぐに見つかるので、ちょっとだけ勇気を出してぜひチャレンジしてみてください。
普段の暮らしに英語を取り入れるのもお勧めです。私はスマホの言語設定は英語にしていますし、通勤時間には英語を聞いて、できるだけ英語に触れる機会を増やすようにしています。スペイン語も英語で学習しています。スペイン語は学生時代に基礎からしっかり勉強したので、忘れたらもったいないと思い、継続しています。
将来、マザーハウスのお仕事でスペイン語を使える機会も生まれそうですね。
はい。中南米への思い入れは今も強いので、いつかマザーハウスで中南米での生産や販売事業にチャレンジできたらと考えています。英語はもちろん、スペイン語の学習もずっと続けていくつもりです。
株式会社マザーハウス
海外経営管理・SCM部門 物流
田村彩紀(たむら・さき)さん
2023年1月、株式会社マザーハウス入社。店舗経験後、海外経営管理として本社異動。現在はSCM(サプライチェーンマネジメント)部門で物流も経験し、バングラデシュをはじめ、生産国とのやりとりや経営管理を担う。
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