グローバル事業を加速するファンケル。社員に求める英語力と、その理由とは?

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「世界中を、もっと美しく、ずっと健やかに そして世界中で愛される会社に」を目標に掲げ、アジア・北米を中心に広くグローバル展開に力を入れているファンケル。その一環として、全社で英語力アップにも取り組んでいます。

どのような教育や工夫をして、社員のグローバルな力を育んでいるのでしょうか。グローバル施策や社内教育を担当している2名の社員にお話をうかがいました。

- Profile -
株式会社ファンケル
ファンケル大学 教育企画部 教育企画運営グループ
課長 久保悟さん

階層別研修など、全社教育の企画・運営管理を担当している。

- Profile -
株式会社ファンケル
ファンケル大学 教育企画部 教育企画運営グループ
中村美彩さん

若手社員の研修のほか、社内のグローバル教育に関する施策の立案・実施などに携わっている。

世の中の「不」の解消をめざす。社員の働きやすさも重視したファンケルの社内制度

貴社では無添加化粧品をはじめとする、さまざまな事業に取り組んでいるかと思います。改めて、現在展開している事業をご紹介いただけますか。

久保さん:ファンケルは『正義感を持って世の中の「不」を解消しよう』という理念を掲げて事業を展開しています。世の中にある不安、不満、不便、不快などを解消しようと、新たな事業にも積極的に取り組んできました。現在は無添加化粧品のほか、サプリメント事業、発芽米事業、青汁事業、肌着・雑貨事業などを展開しています。

おふたりが担当されている業務を教えてください。

久保さん:私たちが所属しているファンケル大学は、大きく2つの部署に分かれています。ひとつは、社員を対象にした教育を考えて実施する教育企画部。もうひとつは、全国にある直営店舗のスタッフや、お客様からの問い合わせ窓口を担当するスタッフの育成をする研修部です。なかでも、私たちは教育企画部に所属しており、新入社員から役員まで、階層別や、グローバル教育のような目的別など幅広い教育を行っています。

中村さん:私の担当業務は、新入社員や若手社員向けの研修と、全社的なグローバル施策です。グローバル施策では、主に社員の英語力アップに向けた取り組みを進めています。

ファンケルでは、社員ひとりひとりが働きやすい環境作りにも力を入れていると伺いました。どのような制度があるのでしょうか。

久保さん:ファンケルは社会の変化にも対応できるよう、新たな制度を積極的に取り入れてきました。たとえば2023年度から始まった、社員の副業解禁です。キャリアの自律が求められる昨今、社員それぞれが実現したい生き方をめざせるように制度が作られました。

中村さん:また、産休・育休制度も充実しています。弊社は女性社員が60%ほどおり、育児休業取得率100%、取得後の復職率も100%です。ここ最近は男性社員にも育休の取得を推奨しており、約95%の社員が育休を取得しています。

久保さん:私も2022年度に育休を取りました。さまざまな制度や社風のおかげで働きやすいですし、女性も活躍しやすい会社だと感じています。

今期からはさらに制度を変化させ、グローバル化を加速していくそうですね。

久保さん:はい。2024年度から、新たな中期経営計画が始まります。ファンケルでは今後もグローバル展開を加速していきますので、その実現に向けて、教育部門でも準備を進めています。

中村さん:具体的には、英語力の強化とグローバルなマインドを育むことに力を入れています。これまでも新入社員や希望者に年2回のTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)受験などを提供してきましたが、今後はより一層、内容を充実させていくつもりです。

  • ファンケルは『正義感を持って世の中の「不」を解消しよう』という理念を掲げ、化粧品事業、サプリメント事業、発芽米事業、青汁事業、肌着・雑貨事業などを展開している。
  • 新たな制度を積極的に取り入れて、社員の副業解禁や産休・育休制度などが充実。
  • 中期経営計画に基づき、2024年度からさらにグローバル化を加速中。
  • 新入社員や希望者に年2回、TOEIC L&R受験などを提供。

よりグローバルな展開を。社員に求める英語力

英語力を強化している背景を教えてください。

中村さん:これまでは英語を使う機会が海外事業本部に集中していましたが、今後は全社でグローバルな事業を進めていきます。海外クライアントとのMTGで英語を利用する機会が増えていることもあり、そのような場面でのコミュニケーションにおいて英語力は重要になると思います。だからこそ、教育企画部から英語力向上のための教育制度を発信しています。

社員にはどの程度の英語力を求めているのでしょうか。

中村さん:まず始めに目指す目標として、全社員にTOEIC L&Rで650点以上とってもらいたいです。650点は一般的な英語の基礎レベルですし、ほかの企業でも基準のひとつとされています。TOEIC L&Rで「聞く」「読む」能力の基礎をしっかりと身につけた人に対しては、スピーキングの力を養うためにTOEIC Speaking Testを実施していく想定です。

  • 海外事業本部だけでなく、全社的にグローバル化を進めている。
  • TOEIC L&Rで650点以上を目標にしている。

聞く・読む力をベースに、話す・書く力のレベルアップもめざす

社員の英語力アップのために、どのような取り組みを行っていますか。

中村さん:年2回のTOEIC L&R受験と、学習アプリの提供です。 また、海外赴任者向けには、語学だけでなく異文化に触れる機会や、グローバルなマインドを養うための研修を実施しています。ほかにも経営層向けとして、ビジネス英会話研修を提供するなど、多くの支援を行っています。

久保さん:より実践的に英語を活用できるよう、スピーキングに関しては、社内でも新たな研修を試みています。

中村さん:スピーキングが練習できる場として、日本語とは違う英語向けの脳の使い方を学ぶ研修、外国籍の方と英語でコミュニケーションをとる機会の提供などを実施してきました。メールライティングの練習、セルフイントロダクションの練習など、ビジネススキルに特化した英語教育も準備しています。実務で英語を活かせるよう、積極的に様々な取り組みを行っています。

久保さん:日本では英語で話す機会がなかなかありません。だからこそ、英語が必要な場面で活用できるように、スピーキングの力を測る新たなテストの導入やレベルアップのための研修も導入したいと考えています。

久保さん:これまでグローバル教育の多くは希望者にのみ行っていましたが、今後は参加必須の研修も増やしていくつもりです。「英語が必要だ」という意識をもっと多くの人に持ってもらうことが重要だと考えています。

中村さん:これまで任意だったセミナーなども必須にして、グローバルな視点と異文化理解を促していきたいと思っています。そのために教育企画部でフォローアップして、グローバルや英語への苦手意識を払拭したいです。

おふたりは普段、どのように英語を勉強していますか。

中村さん:リスニングやシャドーイングです。リスニングでは、倍速で再生するようにしています。普段から速い英語に耳を鳴らしておくことでTOEIC L&Rでの音声がゆっくり聞こえるからです。また、毎月映画を1本、音声や字幕を英語に変えながら見ています。 ほかにも、最近はスキマ時間に発音練習にも取り組んでいますよ。

久保さん:私は子育てもしているので、子どもを寝かしつけたあとに、スマホの学習アプリで勉強します。スキマ時間ができたときにすぐ勉強に取りかかれるので便利です。

  • TOEIC L&R受験や学習アプリの活用に加え、英語でコミュニケーションをとる機会やメールライティングの練習など、ビジネス実務に活かせる英語を意識したスキル(4技能)別の研修を用意。
  • 赴任者や経営層(役員など)にはより実践的に英語が必要とされる場面を想定した研修・セミナーを実施。
  • 英語力の習得のみならず、異文化に触れる機会での根本的な英語に対する苦手意識の払拭を行っている。

英語ができるとキャリアの幅も広がる

英語を学ぶことで得られるメリットを教えてください。

中村さん:コミュニケーションの幅が広がることです。英語を学ぶことで海外に目を向ける機会も多くなるので、視野が広がる点は大きなメリットだと思います。

久保さん:英語ができると自分自身の業務の幅も広がります。現在のファンケルでは海外事業本部だけではなく、管理部門も海外とのやりとりが増えてきました。今後もさまざまな部署で英語を使う機会が増えると思います。そんなとき英語を学んでおけば抵抗感がなくなりますし、不安な要素が少なくなるはずです。部署を異動した場合も、英語学習経験の有無でスタートに差が出ると思います。今は英語を使わない人も、いつか使う日が来るかもしれません。未来を見据えて、今からステップアップしておくことが重要です。

中村さん:TOEIC L&Rも定期的に受けることで、健康診断のように自分の現状がわかるのでおすすめです。さらに、学習アプリを用いて勉強することで、スキマ時間でも英語学習することができるため継続しやすいと思います。結果的に、半年間で自分がどれくらい成長できたかをチェックできます。

久保さん:私も「どれだけスコアが上がるかな」と毎回期待してTOEIC L&Rを受けていますが、実際にはすぐ成長できるわけではありません。英語は一朝一夕で身につくものではないので、長い目で見て学習しています。時間はかかりますが、できるときに学んでおくことが大切だと思います。

  • TOEIC L&Rを定期的に受けることで、健康診断のように自分の現状を把握できる。
  • 長い目で見てより良い結果がでるように学習することが重要。
  • 英語学習を継続するための学習アプリを提供することで環境面の支援を実施。

意識改革で、自分ごととして英語を学ぶ。ファンケルが思い描く将来像

中村さんが担当されているグローバル施策に対する意気込みを教えてください。

中村さん:とにかくマインドセットをしっかり行いたいです。グローバル展開を加速させるために 全社でグローバルに取り組んでいくのだと、教育部門としてしっかり発信していきます。

グローバル施策の推進により、社内でどのような変化が起こることを期待していますか。

久保さん:意識の変化に期待しています。会社が対外的にもグローバル展開を打ち出していますし、今後はますます英語力の必要性を自分ごととして感じられるようになるはずです。

中村さん:私も意識の改革を期待しています。社内で実施しているグローバル施策も、参加希望者が今まで以上に集まると嬉しいです。そのためにも、テストや研修に対して「やらされている感」が出ないように心がけています。語学は自分から「やりたい」と思わなければ、なかなか結果につながりません。必要なことを学んで成長したいと思ってもらえるよう、社員の意識をさらに高めていきたいです。

  • 英語力を上げるだけでなく、自社のグローバル化および英語力の必要性を自分事として捉えるマインドセットまでしっかりとフォロー。
  • 社員が自ら語学を学びたい・成長したいと思えるような施策を考える。

若手ビジネスパーソンへのメッセージ

中村さん:グローバルに限らず、視野を広げてほしいです。自分の可能性を狭めないことはとても大事だと思います。中にはやってみないとわからないこともあるでしょう。まずはチャレンジしてみると、やりたいことが自ずと見えてくると思います。

久保さん:失敗をおそれず、新しいことに挑戦して経験を積んでほしいです。失敗したくない人が増えている世の中だとは思いますが、失敗して学んだことは大いに役立つと思います。若いうちのほうがチャレンジしやすいですし、失敗しても挽回できるはずです。

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海外とかかわりの多い部署だけではなく、全社としてグローバルな未来を見据えて社員全員の英語力を高めようとしているファンケル。 その英語力を強化するべく、年2回のTOEIC L&R受験やスコアアップに役立つ学習アプリの提供、実践的に英語が必要とされる場面を想定した研修・セミナーの実施などさまざまな施策を実施しています。そうした施策を通じて、海外との関わりを自分ごととして捉えるためのマインドセットも行っており、グローバル事業を加速させています。

ファンケルのように英語の基礎力や、スピーキングのための基盤作りとして、活用されているTOEIC Program。英語力向上のためにも活用してみるのもいいのではないでしょうか。

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