英語が話せれば、「世界が広がる」。その楽しさを知ってほしい
公開日:2023年11月16日
明るくユーモアたっぷりな語り口が魅力なうえ、英語が堪能なことで知られる関根麻里さん。語学番組への出演や海外有名人へのインタビューなどで、その英語力を目にされたことがある方も多いのではないでしょうか? インターナショナルスクールから、卒業後はアメリカの大学へ進学。そんな環境で育ったからこそ、「共通言語としての英語」の重要さを実感したという関根さんに、お話を伺いました。
「共通言語としての英語」が、文化の理解へとつながった
関根さんはインターナショナルスクールに通われていたそうですね。
母は英語が堪能で、海外にも友人が多いんです。「自分の子供と友人の子供が英語でコミュニケーションを取ることができたら」という思いがあったようです。私は3歳の頃から受けていた英語のレッスンをとても楽しんでいたそうで、4歳からインターナショナルスクールに通うことになりました。通い始めてからは、友達と遊びたい、先生とお話しがしたい!そういったポジティブな思いから、必要な言葉や表現を身に付けていったように思います。
インターナショナルスクールで苦労をされた記憶などはありますか?
おそらくあったと思います。ただ、何かあったときには周囲が助けてくれたのでしょうね。よく覚えているのは週に1回ほど、授業が終わった後に先生と1対1で話す時間があったことです。先生を独り占めできる、いっぱいお話できる!と、その時間をとても楽しみにしていました。また、学校には私のように英語がネイティブではない子供がたくさんいたので、さまざまな国籍の子供たちが通う環境だからこその「共通言語としての英語の重要さ」を子供ながらに実感して育ったように思います。「みんなが分かる言葉を使う」という共通ルールがあることで、誰も仲間はずれにならないですし、「みんな違っていて当たり前」ということを知ることができました。
学校では日本語話者同士で喋っていたり、日本語と英語を交ぜながら話していたりすると先生から注意を受けました。これもやはり、「学校内では通じるかもしれないけれど、そうではない場所のほうが多い。社会に出たときに、日本語を話すべき場所では日本語を話し、英語を話すべき場所では英語を話す、それぞれの場面できちんと適応できるように」という先生方の教育方針だったようです。この「みんなが分かる」というのは、コミュニケーションする上でも重要なことだと今でも実感しています。ただ、今でも当時の親しい友人たちと話すときは、英語交じりの日本語になってしまうことがありますけどね(笑)。
共通言語があることで「違い」を許容できる、ということですね。
例えばランチタイムにしても、みんなが持ってくるお弁当が違ったりするわけです。時々おかずを交換したり、「それはなに?」と尋ねたり。習慣や文化、宗教や考え方、さまざまなものの違いを自然に受け止めてコミュニケーションを取る、そういった文化交流が日常的にできたのはいい環境だったと思います。
卒業後はアメリカの大学に進学されました。インターナショナルスクールである程度の英語力を身に付けられていたと思いますが、苦労されたことはありましたか?
自分が話す英語は、どこか日本的な文化が交ざっている英語だということに留学して気付かされました。例えば友人に「それかわいいね」と褒められたとき、私が「いやいや」と英語で謙遜したら「私がかわいいって言っているのに否定しないで」と言われたことがありました。私としてはごく普通に謙遜したつもりだったのですが、英語にすると「否定」になってしまう。おそらくこの謙遜というのは日本人ならではの感覚なのだと思います。日本でインターナショナルスクールに通っている頃は謙遜するのは普通のことだったので、これはアメリカに住んでみないと分からなかったことだな、と思っています。
お子さんたちにも英語の教育をされていると伺いました。心がけていることはありますか?
とにかく「楽しく」です! 英語でコミュニケーションが取れると世界が広がってたくさんの人と交流ができますよね。遊べるお友達が増える「楽しさ」、世界が広がる「楽しさ」をしっかり伝えることで、本人たちも「楽しいから学ぼう」と思えますよね。そういった「楽しい」前向きな気持ちがあると英語力もどんどん伸びていくと思っています。
学習のモチベーションアップには「推し活」がオススメ!
関根さんご自身が、「英語が話せて良かった」と実感されることはありますか?
いろいろなお仕事をさせていただく中で、「英語でインタビューできる」のは強みだと思っています。もちろん通訳を介してインタビューすることもありますが、通訳を介すとそのぶん時間がかかってしまいます。海外から来日している方たちのインタビューは時間に制限があることが多いので、通訳を介さずインタビューすることで、時間を最大限に使うことができます。何より、自分の気持ちを直接伝えることができるのは大きなメリットだと思います。自分が大好きな方とお話する機会もあり、本当に嬉しいです。「推し」と直接話ができるんですよ!こんなに嬉しいことはありませんよね。英語で話すことができてよかったと心から思います。
これまでで一番の思い出は?
やはり、大好きなヒュー・ジャックマン様にインタビューできたことです! 私は、大学時代に彼が出演していたミュージカルに何度も通い、劇場で入り待ちや出待ちをしてサインをもらったことがあるくらい大ファンです。そのため、インタビューのお仕事でお会いできたときには「一生に一度のチャンスだ」と思って、ありったけの愛をお伝えしました(笑)。英語学習へのモチベーションとしての「推し活」、オススメですよ!
語学学習に“壁”を感じたことはありますか?
大学時代に外国語としてスペイン語を選択したのですが、これが本当に難しい!しかもアメリカはスペイン語圏からの移民が多く、同級生はスペイン語にもともと馴染みがあったようで、一からスタートするのはクラスの中でもほぼ私だけ。友人に手伝ってもらったり、時間を見つけては先生に聞きに行ったり、大変な思いをした記憶があります。今、英語学習に関する番組に関わらせていただいていますが、語学学習に取り組まれている方を本当に尊敬しています。夫が韓国人ということもあり、今は韓国語を勉強しています。やはり語学は「単語を暗記すること」が重要ですね。これはもうコツコツ続けるしかないな、というのを実感しています。
しばらく使わないことで、英語力の低下を実感したことはありますか?
あります。リスニング力についてはあまり実感したことはありませんが、スピーキング力は日常で使っていないと、本当に言葉が出てこなくなります。おそらく「話す」スキルが一番瞬発力を要するからなのでしょうね。冗談さえ難しくなることがあるので、あとから「ああ、もっと上手い返しがあったのに」「もっと気が利いた、面白いことが言えたのに!」と悔しい思いをすることもあります(笑)。
よく「英語は話せません」という方がいますが、おそらく海外の方からすると、そうは言っても「話せる」方が多いと感じると思います。完璧に、正しく話せないと「英語が話せる」と言えないと思っている方が多いのではないでしょうか。その謙虚さは日本人特有の「良さ」でもありますが、とてももったいないと思います。中学レベルの英語力だけでも、簡単なコミュニケーションには十分だと思います。実は話せないのは「気持ち」の問題という人も多いと思っています。遠慮や、照れ、「間違えたらどうしよう」という不安。そういうものを一度置いて、まずはぶつかってみる!やってみたら、大丈夫なことが多いと思います。逆の立場で考えてみると、日本語を学習している人に拙い日本語で話しかけられたら、私たちはまず「自分とコミュニケーションを取ろうとしてくれて嬉しい」と思いますよね? そういうことですから。
英語学習をされている方へのアドバイス
今英語学習をされている方に、アドバイスをお願いします。
学習を続けていると「難しいな」「この先どうしよう」と悩む時期も出てくると思います。そこをぐっとこらえて、「もう少し頑張ってみようかな」とか、「今日は少しお休みして、また明日から挑戦してみようかな」とか、自分のペースで少しずつ「学習を続けていくこと」が大切だと思っています。そうして続けていく中で、ある日突然“世界が開ける”瞬間が必ずあります。おそらく、一定の実力が付いた証拠だと思いますが、一気にぱっと視界が開けるイメージです。今、苦しさを感じている方は、ぜひその瞬間を目指していただければと思います。先ほどお話ししたように「推し」をモチベーションにしてもいいですし、ドラマや音楽など好きな英語のコンテンツを利用するのもいいと思います。目標設定をしてそこに向けて頑張って、結果が出なかったら取り組み方を変えてみる。スコアで結果が出るTOEIC Listening & Reading Testを活用するのもいいと思います。少しでも英語が話せるようになると、本当に世界が広がります! だからこそ、ぜひ皆さんにはそれぞれの目標に向かって“楽しく”英語学習を続けていただきたいなと思います。
関根 麻里さん
1984年生まれ、東京都出身。⽗は関根勤。インターナショナルスクールを経て、アメリカのエマーソン⼤学に進学。首席で卒業した後、⽇本に戻り芸能界デビュー。テレビやラジオ、CMなどに幅広く出演するほか、英語でのインタビューや絵本の翻訳なども手掛ける。出演中のNHKラジオ『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』は月曜日から金曜日、毎日9:10 から放送中。
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