渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 山下さん
―エッセイに書くテーマはどのように決めましたか?
山下さん:小学生の頃、親の仕事の関係でイギリスにいたのですが、その地域には敬虔なカトリック教徒が多く住んでいました。日本にいた頃は宗教のことはまったく考えたことがなかったのですが、イギリスに引っ越してからカトリックの人々と触れ合ったことで、神についても考えるようになりました。いろいろなギャップや問題もありましたが、カトリック教徒の親友ができたことで、宗教観は違っていても理解しあって仲良くすることができるんだ、ということもわかりました。今回のエッセイの課題が「身近な異文化体験~コミュニケーションを通じた響きあい~」と知って、真っ先に浮かんだのがこのイギリスでの体験でした。
―どのようなプロセスで書き進めましたか?
書くうえで大変だったことは?
山下さん:まずは文法が間違っていてもいいから、初稿を一気に書きました。その後、構成を考えました。導入部はインパクトがある文章にしたかったので、自分が納得できるまでかなりの時間を費やして書き直しました。その結果、礼拝のシーンから始めることにしました。大変だったのは、エッセイの着地点をどうするか、ということです。「寛容の精神が大事である」という大きな結論は書き始める前から決めていたものの、いざエッセイを書いてみると、いろいろな考えが出てきて何を書きたいのかわからなくなってきてしまったので、一度、原点に戻って考え直しました。
―本コンテストに応募した動機と、受賞を知ったときのお気持ちを教えてください。
山下さん:中学以降は日本に住んでいるのですが、小学生の頃の海外生活で身につけた英語力を更に高めるために英語学習には力をいれていました。もともと英語で文章を書くことが好きなのですが、これまで人に読んでもらう機会がなかったので、自分の英語が人に伝わるのかどうか自信がありませんでした。それで、学校に掲示されていたコンテストのポスターを見て、挑戦してみようと思ったのです。
ライティングのコンテストに応募するのは初めてだったので、先生から受賞したと結果を聞いたときは驚きました。先生もほめてくれましたし、両親も私がコンテストに向けて努力している姿を見て喜んでくれていたので、受賞できてよかったです。何より、自分のエッセイに込めた思いと英語の文章が人に伝わったことは、自信にもつながりました。
―表彰式に参加されて、いかがでしたか?
山下さん:事前に他の受賞者のエッセイを読んでいたので、「この人があのエッセイを書いたんだ!」と感動しました。親睦会の時間も楽しくて、互いの学校生活や将来の目標を話したりしていました。素晴らしい同世代の方々と知り合えたことも、コンテストに応募してよかったことのひとつです。
―日頃の英語学習では、どのようなことをされていますか?
山下さん:高校の授業では、エッセイライティングを含めた高度な英語を学んでいます。個人的にはインプットを大切にしていて、幅広いジャンルのニュースや記事を読むようにしています。読書も好きですが、同じ作家の本に偏ってしまうと、その人の文体に似てきてしまうので、いろいろなものを読むようにしています。学校の図書館に洋書の蔵書がたくさんあるので、先生のおすすめの本を聞いて、それを読むこともあります。
―将来の夢や目標を教えてください。
山下さん:将来の夢は定まっていませんが、海外で大学生活を送ってみたいので、アメリカの大学に進学するための準備をしています。
―アメリカを希望する理由は?
山下さん:アメリカは多様性のある国だと思うので、そこで多くの人と知り合ったり学んだりすることで、視野を広げていきたいです。
―これから本コンテストに挑戦する高校生に向けて、アドバイスをお願いします。
山下さん:過去の受賞作の分析など頭を使う作業も必要ですが、心から楽しむことが大事です。私自身は、書くことを楽しいと感じる気持ちやパッションがなければ、最後まで書き終えることができなかったと思います。また、コンテストに応募したことでライティング能力を高めることができましたし、テーマについて深く考えることもできました。「異文化体験」というテーマを通じて、自分のこれまでの人生についてあらためて考えるきっかけにもなりました。エッセイを書くことで得るものはたくさんあるので、ぜひ挑戦していただきたいと思います。
(本記事の取材は2023年1月に行いました。)
山下さんのエッセイはこちら The Door to Tolerance
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